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山行記録 カレンダー
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msc_kiroku2 2006-2-11 12:55
神奈川岳連・冬山教室/富士山 氷雪実技講習 日時:2月11日(土)?同12日(日) 場所:富士山吉田口登山道5合目周辺 MSC参加者:講師/門脇、清野  受講生/作田、池田、須藤  2月10日(金)正午、昼間入山組の生徒6人、岳連の他の雪山講習も含めた講師の方6人の12人が富士吉田駅に集合、スパッツ等の足回りを装着し予約したタクシーに乗り込み登山道へ向かう。雪が少ないためか運良く、”馬返し”まで行くことができ下車。1時過ぎ、即座に登山道を登り始め4時過ぎに5合目佐藤小屋着。3時間余りの登りで息はそれ程あがらないのだが、何となく体が重く、切れが悪い。昨年末からの、なんとなく風邪気味状態に気をとられ、事前のトレーニングを怠っていたせいだろう。別にいつも大したことをしている訳ではないが、階段の登リ降りを繰り返すだけで大分違う。 6時頃の夕食まで、講師の方々と一杯入れて談笑。山の世界に入って未だ1年にも満たない新入りの自分が、この道何十年の強者の方々の話を聞けるのは、興味深く、ありがたい。殊にKさんの豪放磊落ぶりには驚いた。夜中にトイレの扉を開けると、便器の上に座り、あの頭をうなだれて寝入っているのにはビックリ!。翌朝の”またやっちゃたか”に2度ビックリ。  夕食を摂って、9時過ぎに寝室に入る。噂には聞いていたが、この部屋はともかく寒い、いや冷たい。寝具は聞いていたほどの”煎餅布団”ではなかったが、部屋が冷蔵庫というより、チルド室状態。幸いこの日は宿泊客が少ないので、周囲の布団、毛布を掻き集め何枚も重ね、凌ぐことができた。  翌朝6時起床の予定であったが、夜半組の睡眠を考慮し7時前起床、朝食を摂り9時過ぎから以下の通りに実技演習。 1.アイゼン歩行?始めの一歩  先ずアイゼン歩行訓練を各班(4班)に分かれ佐藤小屋周辺で行う。バンドの長さ、締め付け方等何人かアドバイスを受けるが、概ね順調。 2.斜面でのアイゼン歩行  スバルラインを西側に500m程行ったところの斜面に全班移動し、歩行及び滑落停止訓練。始めにアイゼンを履いての歩行登攀。足裏全体を接地し、アイゼンの爪全部を効かせて雪面を歩行。登りは良いが、下りが上手くいかない人が結構多い。踵から接地してしまいがちに要注意。 3.滑落停止  次にアイゼンを付けたままの滑落停止訓練。これが今回の訓練の核心と言える。  先ずは、斜面に仰向け状態から右回りに腹這いになり、ピッケルのピックを右胸の辺りで右手(利き手)で斜面に刺し体重を載せ、左手はシャフトの下を左腹の辺りで握り、かつ両脇をしめて停止する。アイゼンが接地してひっかからないように膝から下を折って上げる。それが出来れば今度は左周りに一回転して同じことをやる。ここで大事なのはピックにしっかりと体重を載せること。これが充分でないと、ピックが体から離れ、上方に残ってしまいぶら下がり状態となり、ピックが突き刺さらないためズルズルと落ちてしまう。(何だか出来の悪いマニュアルを書いてるみたいだ。経験者にはあまりおもしろくない。来年の新人の方への体験談かな、これは。)次は、頭から斜面にうつ伏せになる逆さ状態からの滑落停止。斜面に立って下に飛び込むようになるので、結構勇気がいる。頭、胸から飛び込んでうつ伏せになった後、先程と同じようにピッケルを雪面に刺し込むと、ピックを支点として自然と体が時計回りに回転して停止状態に入る。  飛び込む分、勢いがついているので、先程のように簡単には停止してくれない。ピッケルを抜き直して、2度、3度ガツンとピックを刺し直す人もいる。僭越だが、私には刺し直しはあまり意味がないように思える。抜いている間にまたズルズルと落ちてしまい、まして勢いが着いてしまうように思える。それだったら、ピックを体に引き寄せてしっかりと体重をかけた方が良いのではないか。私はずっとそれで通した。勿論斜面、積雪の状況によるにも違いないが。  最後は背面、頭からの滑落状態での停止。斜面を後ろにして後頭、背中から飛び込むのだから勇気だけでなく、少し複雑な動作を整理する頭も必要に思える。ただ実際にやってみると頭はあまり必要ないことが後で分かる。  久保田講師が1人目を30才代と思しき人(年齢は関係ないか)を指名する。見事に成功。  2人目に私が指名される。ドキドキしながら斜面の飛び込み台に上がる。あまり考えずに飛び込んでみる。仰向けになって頭から斜面を落ちる自分が分かる。分かるが、肩から吊るしたピッケルバンドがアイゼンに引っ掛かってしまったのが目に入る。瞬間どうしていいか分からない。はずそうかと思っているうちに、スルスルと滑落し続け下にいるギャラリー(ストッパー)に頭から突っ込んでしまった。 くそっ!思いは、恥ずかしいより実に悔しい。  これ以上は危ないからということで背面飛び込みの訓練はこれで終わってしまった。  その後の休み時間に、清野さんに見守ってもらって背面、頭からの滑落停止を試みる。今度は出来た。ほっとする。頭から下に背面滑落したら、右に反転しながら例の如くピックを右胸の位置で突き刺すと、そのまま反転すると同時にピックを支点に体が上から下に回転する。つまりは、頭が上へ足が下へ時計回りに回転する。  見た目程複雑ではない、滑落状態になったら、右に反転してピックに体重を載せて突き刺せば、勢い、体重、ピックの支点で自動的に滑落停止の体勢になる。  背面から飛び込むので勇気がいるのと、回転動作に気をとられて膝を曲げてアイゼンが接地しないように要注意である。 4.斜面でのアイゼン無し歩行  いわゆるキックステップを使った歩行。直上する時には雪面に鉛直に直角で蹴りこみ、つま先回りの水平の棚を作り、右、左と繰り返しながら登っていく。  トラバースする時は、谷足(斜面に立って谷の下側になる足)を20?30度開き、逆の足は斜面に平行にキックステップする。このトラバースは斜め上気味に登るのは問題ないが、斜め下に下りるのが少し難しい。谷足のキックステップが、下に足、体を落としながらやるのでバランスを崩しかねない。清野さんに聞いたところ、下りのトラバースは登りのそれと比べると半歩ずつ行った方が良いと聞いて得心する。  直下降は結構難しい。アイゼン歩行とは違い、踵を雪面に鉛直、直角に落とす。体重を充分に載せないと、踵が雪面にめりこんでくれず、スリップして転倒してしまう。片足が接地すると同時に残った後ろ足は雪面から離れていないと、体重が載ってくれない。恐る恐るやると後ろ足が残って前足踵に重心が移動せづ、のけぞって尻餅をつくことしなる。  2、3回繰り返して、何とか体裁を整えることができたが、まだ少しぎこちない。  作田さんが非常にうまかった。体の大きさといい、身の動かし方といい何だかロボコップのようなのだか、実にしっかりと踵で雪面をとらえて降りている。井上講師にしきりに褒められていた。いつも門脇さんにボロクソやられているが、この時はまるで水を得た魚のよう。 5.カンジキ歩行  斜面での歩行、滑落停止訓練の後、小屋への帰り際に斜面の小樹林帯にてカンジキを装着して歩行訓練。少しきつめの斜面で下り登りするが、結構息があがる。カンジキが雪にめりこんでそれを持ち上げる際、雪を引っ掛ける。その時重いからと充分に脚をあげないと、次の一歩が充分に前へ出ず、進まないことになる。  とにかく充分に脚を上げること、というのが門脇さんの指摘だった。  上記一連の訓練を終えて、3時半頃小屋へ到着。装備類を整理して、体を温める。その後一杯飲りながら、各班毎に次回谷川の打ち合わせ。そして夕食は鍋。大いに食べて、飲んで早い人は8時に、大概の人も9時頃就寝。昨日より大勢になったせいか寝室が昨日より暖かい。ぐっすり心地よく眠れた。  翌朝6J。忘れかけていたところなので、復習できたのは良かった。  その後は、昨日と同じ斜面で2グループに分かれて滑落停止訓練。各自数回行うと、慣れたもので皆、恐怖心、体の硬さが取れすんなりとやってのける。中にはアクロバットのように飛び跳ねているような人も。皆、動きに停滞がないので、直ぐに自分の番となって休む暇がなく、息があがってくる。11時少し前となったところで、小屋に戻り、昼食をとり、荷物をまとめて下山準備。  1時前に下山を始め、1時間半ほどで、全班無事”馬返し”着。終了式を行い。班毎にタクシーに乗り込み、解散となる。  今回の講習は、雪上歩行と滑落時の停止という雪山での本当の初歩であったが、その初歩でもかなり難しいことを改めて理解する場だった。滑落停止はもとより、雪上歩行も思っていた以上に難しい。講師の方々が仰るように、山行の都度意識して繰り返し反復しないと自分のものとはならないことを肝に銘じたい。 以上

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