Welcome Guest 
山行記録 カレンダー
« « 2008 8月 » »
27 28 29 30 31 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 1 2 3 4 5 6
月別アーカイブ

-

  • 前へ
  • 次へ

カテゴリ : 
執筆 : 
blogmaster 2008-8-23 20:50
日程:2008年8月23日(土)?26日(火)
山域:槍ヶ岳 北鎌尾根
山行形態:岩稜
メンバー及び役割:木村(CL、食当、記録)、羽生田(会員外、SL)

記録:
8/24 中房温泉(6:00)?合戦小屋(8:10)?燕山荘(9:20)?大天井岳分岐(11:30)?大天井ヒュッテ(12:15)?貧乏沢下降点(12:55)?天上沢出合(14:55)?北鎌沢出合手前(15:40)幕営
8/25 北鎌沢出合(5:05)?右俣出合(5:30)?北鎌のコル北東のピーク(9:45)?コル(10:40)?2749mのピーク(12:00)?独標(14:10)?ビバーク地(16:45)
8/26 ビバーク地(5:50)?北鎌平(7:15)?槍ヶ岳山頂(9:15)?槍岳山荘(10:45)?上高地(16:05)

 8月23日夜、西新宿のバスターミナルに集合し夜行バスで穂高へ向う。天気予報はあまりよくない。8月24日4:00に穂高に到着、予約しておいたタクシーに乗換え中房温泉へ向う。かなり激しい雨が降っている。5:00には中房温泉に到着し、トイレの中で身支度を整える。次第に雨は小降りになり6:00にはなんとか出発することができた。今日は日曜日なので下山してくる人が多い。ザックにヘルメットをぶらさげているのを見て「北鎌ですか?」と声をかけられる。8:10には合戦小屋へ到着。名物のスイカを食べる。美味しい。燕山荘には9:20に着いた。この頃には天気もかなり回復し周囲の景色が少しずつ見えるようになってきた。ここからは大天井ヒュッテまで快適な縦走路だ。なぜかサルの大群が岩峰に集っている。

北アルプスでこういう光景を見るのははじめてだ。縦走路とはいえ荷物が重いのでなかなかつらい。休み休み歩を進め12:15に大天井ヒュッテに到着。この頃には晴れ間もみえはじめ、私達はなんてツイテルのだとはしゃぎあう。
 休憩後いよいよ貧乏沢下降点へむけて出発。7月に下見をしておいた下降点は「貧乏沢入口」という札がありとても分かりやすい。入ってみると踏み跡はかなりしっかりしているのでルートに迷うことなく降りられそうだ。

少し前に北鎌に行った古屋さん・中山さんのアドバイスどおり左岸沿いの巻き道を下っていく。下るほどにどんどん沢らしくなってゆき、天気もどんどんよくなって気持ち良く沢下りを楽しめた。約2時間ほどで天上沢出合に到達。天井沢は広く、北鎌尾根へ一歩近づいたこともあり興奮する。ここからは今日の幕営地を探しながら、できるだけ北鎌沢出合まで近づくことにする。キョロキョロしてるといくつか幕営可能な場所がある。なんとなく歩いていくと北鎌沢出合付近まできてしまった。ちょうどそこにロープを張って寝袋等を干している人がいた。その近くに良い場所があったので今夜はそこにテントを張ることにする。ザックを置いて北鎌沢を偵察し、先客に挨拶をする。ガイド志望の単独行で2日間北鎌のコルでビバークし今日下降してきたそうだ。かなり時間があるらしく今回の山行で2回北鎌尾根を登る予定だとか。世の中いろんな人がいるものである。
 テント設営後、焚火に取掛るがなかなか火がつかない。もたもたしている私達をみて、さっきのガイド志望の人が手伝いに来てくれた。それでも火はつかず、半ば諦めかけた頃、1時間ほどしてようやく火が点いた。焚火に関してはまだまだ授業料が必要だ。今晩のメニューは穴子寿司、たまごスープ、ウィンナー。夜になると霧が
立ち込めてきて明日の天気が少々気になる。20:00に就寝。
 8月25日3:00起床。ラーメンを食べ身支度を整える。5:00には出発し北鎌沢出合から沢を遡行していく。

しばらくすると二俣になる。あきらかに左俣のほうが水量が多いが、ガイドブック通り右俣に入る。1時間ほど遡行すると水流がなくなったので水を汲むことにする。コルの手前まで水が出ていると聞いていたが心配なので早めに水をとる。木村が3ℓ、羽生田さんが2ℓ確保した。右俣の最後の詰めは沢からはずれた踏み跡が歩きやすいと聞いていたので、それを探しながら歩く。少々早い気もするが右側に明瞭な踏み跡がでてきた。これではないかと思い進んでみる。どんどん上がっていくと正面の岩壁に新しい赤いシュリンゲがかかっていた。懸垂の支点のようだなと思いつつさらに登っていく。今思えばここで疑って引き返すべきだったのだ。中山さんからもシュリンゲのことがアドバイスされていたのに・・・。経験の浅い二人はやけに急になってくる斜面をずんずん進んでいった。すると岩と草付の急な壁に行き当たった。少し思案するも木の根にしがみつきながら前進する。ルートをはずれた事は認識しながらもうっすらと踏み跡があるのでこのまま行ってしまおうということになる。急な草付を恐る恐る登っていく。かなり冷や汗ものだ。支尾根までもう少し、最後のピッチはロープを出しようやく安定した場所に立つ事ができた。ここから約30分ほど藪こぎをして9:45ようやく北鎌の稜線に出ることができた。ヤッター!と妙な達成感と疲労感が。出てきた場所は北鎌コル北東のピークらしい。早くも今回の山行の核心部であった。少し休憩して気分を落ち着かせ北鎌のコルへ向う。途中懸垂下降を1回。コルはテント1?2張り可能な安定した場所であった。
さっきのルートミスで約3時間ほどロスしてしまった。

あせってもしょうがないので落着いてゆっくり歩くことにする。コルからは踏み跡も明瞭で(さっきのに比べるとホントに歩きやすい!)じわじわと高度を上げていく。12:00に2749mの稜線に出た。幕営できそうな場所はかなりある。ついでにゴミもたくさんある。稜線には出たが周囲はガスっていて展望はきかない。ルートがよく分からなくなったら稜線上を行こうと確認し、いよいよ岩稜帯歩きに突入。ここから先も踏み跡はわりと分かりやすく切れ落ちた岩稜のトラバースや少し難しいクライムダウンなどをこなしていく。




どの場所も一歩間違えれば奈落の底へ落ちていくので緊張感のある場面ばかりだ。やがて少し難しいチムニーを越え14:10独標に到着する。無理をすれば山頂までも可能そうだが、暗くなるとルートが分かりにくいのでどこかでビバークしてもいいかもしれない。
時折、オコジョやサルが顔を出し楽しませてくれる。この稜線上に私達二人しかいないというのも贅沢なものである。次々と現れる岩峰を巻いたり登ったりするも、だんだんと疲れがでてきてペースダウンしていく。16:45頃あるピーク直下の肩にテント1張り可能なスペースをみつけた。今夜はここでビバークすることにする。断崖絶壁の上だがテントの中に入れば暖かく居心地は良い。幸い風もなく小雨が時折ぱらつく程度で快適な一夜を過ごすことができた。水もかなり余分に持っていたので、米を炊き味噌汁、コーンビーフと葱の炒め物という豪華な夕食を食べることができた。
8月26日寝過ごして4:30に起床。スープとお茶を飲み行動食で簡単に朝食をすませる。行動用の水は1人500ml+α。ビバーク地を5:50に出発。ピークにいたのでいきなり急な下りからはじまる。天気はあいかわらず曇りだが視界は昨日よりひらけている。千丈沢側の巻き道を進んで行く。遠くから見ると難しそうな場所も近づくと案外無理なく登れる場所が多かった。7:15北鎌平に到着。この頃にはだいぶ雲が晴れてきて初めて槍の穂先を見ることができた。はるか先には西鎌尾根や硫黄尾根も見える。一晩ビバークした甲斐があったというものだ。
ここから先は稜線通しの岩塊地帯をゆく。まっすぐ聳える大槍の壁に一体どこを登るのかと思うが、ほとんど直線的に穂先へ向って進んでいけばよいみたいだ。残地シュリンゲをみつけ、そこが1つ目のチムニーであることが分かった。右側を巻くこともできそうだが、とりあえずチャレンジする。羽生田さんがまず登りシュリンゲを掴みながらうまくバランスをとってチムニーを越えた。次に木村の番。斜め左に向って2?3m程登ると足場があり、そこからシュリンゲを掴みながらトラバースするのだが、一歩踏出しだところでバランスが崩れこらえきれず落ちてしまった。落ちたのは2?3m程だが結構な衝撃でビックリしてしまった。そこで止まったから良かったものの、もっと下に落ちてたら大変なことだ。山頂を目前にして気が緩んでしまったのか、慎重さが足りずエイヤッで行ってしまった。かなり反省する。
体を動かしてみたら大丈夫そうだったので、もう一度チャレンジ。今度はお助け紐を出してもらい、なんとか登ることができた。続いて2つ目のチムニーを越える。こちらは慎重に行きなんなく越える。あとは階段状の岩を登るともうそこは槍の山頂であった。山頂からは周囲の稜線が良くみえる。長い道程であったがようやく山頂に立つことができた。いろんな事があったけど本当に来れてヨカッタと喜び合う。

槍岳山荘に下り、さっきの滑落でできた右膝のケガを応急手当し大休止する。バスの時刻を確認すると17:25上高地発のバスに乗れば今日中に東京に帰れるようだ。バスに乗りたい一心でかなりのスピードで下山する。足の裏が痛いが我慢して走るように降りていった。16:00過ぎに上高地に到着しビールで乾杯。バスと電車を乗り継ぎ予定通り東京に帰ることができた。

トラックバック

トラックバックpingアドレス http://www.msc-jp.net/modules/d3blog/tb.php/986
Copyright 2001-2014 msc-jp. All rights reserved.