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場所:富士山
メンバー:山本(CL・食当)、須藤(SL・装備)、木村(食当・記録)
2月9日(金)
11時に調布駅に集合し中央高速で富士吉田へ向かう。天気は良い、暖かくて春のような陽気だ。中の茶屋までは雪もほとんどなくすんなり車が入れたが、この先結構雪が積もっている。行ける所まで・・と車を走らせる。緩い坂道をだましだまし登っていくが、馬返しまであともう少しという所でタイヤが空転。チェーンを着けて再び登るが全く進まない。氷と舗装を削って火花が飛散り、なんとチェーンが壊れてしまった。諦めて少し下の道路脇に車を停める。
そうこうするうちに時間は15時を過ぎてしまった。慌てて準備をして登り始める。今回は3人でテントや装備などの荷物を担ぐのでいつもよりザックが重い。暖かい陽気と荷物の重さにあてられ思うように進まない。陽が沈みヘッドライトを点けないと歩けなくなってしまった。標高も上がり夜の冷気で少し休むと体が冷えてくる。前方に明かりが見えてきた。18時過ぎ、やっと佐藤小屋に到着だ。小屋の少し下の風のあたらない場所にテントを張る。疲れた体を癒すべくビールで乾杯し、晩ご飯のクリームシチューを食べ早めに就寝する。
2月10日(土)
起きたら6時30分だった。昨日の残りでリゾットもどきを作り簡単に朝食を済ませる。講習会は8時集合なので急いで身支度をする。早朝に登ってきた古屋さんと合流する。佐藤小屋へ行くと冬山教室に参加している清野さんと高森さんに会った。
6:30日の出。
日の出をバックに、まだまだ元気。
講習会(研修会)の参加者は7人で、その内4人はMSCのメンバーだ。講師陣は久保田さん、山下さん、太田さんである。受講者で指導員の資格を持っているのは山本さんのみで、木村のような初心者も混ざっていたためか講習会の内容は歩行技術など基礎的な事から始まった。 訓練するのに適当な斜面を見つけて、確保用のザイルを張る。何もない雪面での支点の作り方は、スノーピン(ボラード)という直径2m、深さ30cm程度の円形の溝を掘り、溝にザイルをかけて支点とする。弱層があると支点として使えない場合もあるため、雪の層の状態を注意しながら掘っていく。両端のスノーピンにザイルを張り、滑落した時に引っ掛かるようにする。ザイルの下部にピッケルで溝をつくり滑った時に止まるようにする。 次にアイゼンなしでの雪上歩行訓練をした。斜面を登る時はつま先を蹴り込んで登る。下る時は踵を蹴り込んで靴底が水平になるようにして歩く。これが意外と難しく、久保田講師のようにリズミカルに降りられない。完全に片方の足に重心を移動しないとバランスが崩れて滑ってしまう。続いてアイゼンを着けての歩行訓練。アイゼンを着けた場合は爪をすべて雪面に食い込ませる。下りも前の爪をきかせると安定して歩くことができる。 次に滑落停止を何パターンか練習した。注意点は、停止した後に必ず膝を着いて安定してから立ち上がること、アイゼンを着けている場合アイゼンが引っ掛からないようにすること(飛ばされたり、簡単に骨折につながるので)。実際の山では滑落停止を使う場面はほとんどないそうだ。それよりも転ばない、転んでも滑らないようすることが事故を防ぐ第一歩であるとのこと。 休憩後、山下・太田講師による隔時登攀のモデルを見学する。腰がらみ、肩がらみ、スタンディングアックスビレイ、スノーバー・デッドマンの利かせ方、ブッシュを利用する支点“イワシ”など。雪上での支点のとり方は臨機応変にその場の状況に応じて選択していく。実際には登っている人が見えなくなる場面もあるのでザイルの状態で状況判断できるよう練習を重ねることが重要だ。イワシ結びは非常に良くきくので覚えておきたい。 最後にMSCの3人は明日富士山に登るということで、アンザイレンしたまま登る方法を教えてもらった。真ん中に初心者を入れて5?6m間隔で3人を結ぶ。常にザイルは張った状態で歩き、真ん中の人がこけた場合すぐにザイルを引けるようにする。 大切な事をたくさん教えてもらい一度では消化しきれない内容であった。基礎的な歩行技術もまだまだ習得できていないと感じた。会の山行でもこのような訓錬を繰り返し行い、今日教わった事を確実にできるようになりたいと思った。 明日はいよいよ富士山に挑戦する。晩ご飯はキムチ鍋、明日は3時30分起床なので7時過ぎには就寝することにする。その夜、山本さんが小屋に顔を出しに行ったので、須藤さんと木村は先に寝袋に入っていた。山本さんが帰ってきてテントの入口を開けた途端、ロウソクの火がガスボンベに引火し大きな炎となった。これはマズイ、テントが燃えていく!ガスボンベを外に出そうともがいてるうちに火は自然に消えた。一瞬、あまりの出来事に一同声が出ない。被害はテント本体吹流し部分と内張りの損傷及び山本さんの眉毛が少々焦付いた程度であった。大事故にならなくて良かったが反省することばかりである。どうやらガスのヘッドが緩んでいてガスが少しずつ漏れていたようだ。面倒でも使わない時はガスボンベからヘッドを取外しておいたほうが良い。またテントの中でロウソクを点けたまま眠ってしまった。使い慣れないものを使用する時はもっと慎重にならなければいけない。いつも燃料はガソリンを使用しているが、今回ガスがどの程度使えるのか実験的に使用してみたのである。ガスの場合コンロの位置が高いため床が平らでないとなかなか安定しない。そのため調理中、常に誰かが鍋を抑えていなければならなかった。火力の調節はガソリンより簡単で火力も相当ある。250gの缶を一日一個の割合で使用したが、今回は雪から水を作っていない。水づくりを考えると相当な量のガスボンベが必要なのかもしれない。それにしても道具は使い方次第で良くも悪くもなるので気をつけねば。 2月11日(日) 3時30分起床、昨日のボヤ騒ぎでテントに穴が開いてしまいなんとなく寒い一晩だった。早速、朝食のラーメンを食べ準備する。5時15分佐藤小屋を出発、周囲はまだ真っ暗で空には星が輝いている。富士山に登るという事でいつになく緊張している。ヘッドライトの明かりを頼りに順調に樹林帯を抜ける。抜けた途端冷たい風の中にいた。ここから先は遮るものが何もないのでまともに風を受ける。木村の左足のアイゼンが外れたり、須藤さんが目出帽を被りたいというので小屋の脇で身支度を整える。 6時を過ぎると空がだんだん明るくなってきた。6時30分日の出。風は強いが天気はかなり良い。夏道をゆっくり登っていく、所々地面が露出している場所もある。どうも木村のアイゼンの調子がおかしい。セットしてしばらく歩くと左足だけ外れてしまう。昨日までは何ともなかったのに。セットしても靴の前の切れ込みに止め金が完全にはまっていない。ネジで締めようとするがネジが全く回らない。凍ってネジが回らないのかとお湯をかけてみるが全く動こうとしない。最後は止め金の穴の位置を片方だけズラしてはめてみることにした。なんとか切れ込みにはまっている。これでいくしかない。 この後はアイゼンが外れる事もなく順調に高度を上げる。7合目の小屋で休憩していると、前を歩いていた二人組が戻ってきた。風が強いので引き返すそうだ。確かに小屋のかげでないととても休憩なんてできない。行動食のパンも凍ってしまった。鼻や口の周りなどむきだしで外に出ている部分は感覚がなくなっている。なんとなく不安になるが、まだまだ時間も体力も余裕があるので上を目指す。ここからはアンザイレンして登っていく。 夏道もだんだん雪に覆われ杭の頭を頼りに雪の斜面を登っていく。昨日教わったアイゼン歩行技術のまさに実践という感じ。風は常に吹いており、時折飛ばされそうになるくらいの突風が襲ってくる。耐風姿勢をとるがなかなか風はやまない。固まったままでは進まないので一歩一歩足を出していく。 ザイルを結んでしばらくしてから木村の足取りがだんだん遅れていく。頭がボンヤリしてなんでもない所でフラついてしまう。体中の筋肉に疲労感があり風邪をひいた時みたいな感じになってしまった。なんとか前を行く山本さんについて行こうとするが、どうにも体がいうことをきかない。これが高山病というものだろうか・・・。最初は3人でザイルを結んでいたが、最後尾の須藤さんがどうにもザイルが気になって歩きにくいというので、途中で木村と山本さんのみでザイルを結ぶことになった。
8合目到着。
同じく8合目の山本さん。
富士山は白く輝いていました。
10時20分、8合目に到着。休憩をとってもらうが、木村はこの先進む気になれない。しかし、もう少し時間があるので行ける所まで行こうということで出発する。11時、なんとか一つ上の小屋(3,450m付近)に辿り着いた。見上げればあと一息という感じで富士山の山頂が見える。これ以上進めないという気持ちとあと少しという気持ちがせめぎ合う。このペースだと山頂に達するにはあと2時間くらいかかるだろう。また木村の体の調子がおかしく、これ以上進むと危険だと感じたので、ここで引き返すことになった。 下りは順調で苦しかった道のりをあっという間に降りてきてしまった。本当に良い天気で、眼下には山中湖や河口湖などが良く見える。振り返ると白く輝く富士山がそびえており、簡単には登らせないぞと言っているようだった。 気が抜けてしまったのか、樹林帯で道に迷い佐藤小屋までラッセルをして降りた。13時30分にテント場に到着、テントを撤収して馬返しまでさらに下る。馬返しまでの道が凍結していてツルツル滑って大変だった。約2,000mを一気に降りたので、足が変な感じになる。3人とも疲れきって思考回路停止気味、調布で解散する。 今回は盛りだくさんの内容でとてもいい経験になった。テントを燃やすなど反省点もあるが、厳冬期の冬山がどういうものなのか初めて体感できたように思う。耐風姿勢など今までピンとこなかったが、ようやく意味が分かった。また富士山に登る機会があればチャレンジしたい。 コースタイム(2月11日) 3:30 起床 ? 5:15 佐藤小屋(2,200m)発 ? 10:20 8合目 ? 11:00 3,450m付近の小屋 ? 13:30 佐藤小屋着 ? テント撤収 ? 15:00 佐藤小屋発 ? 16:30馬返し(1,400m)着
日の出をバックに、まだまだ元気。
講習会(研修会)の参加者は7人で、その内4人はMSCのメンバーだ。講師陣は久保田さん、山下さん、太田さんである。受講者で指導員の資格を持っているのは山本さんのみで、木村のような初心者も混ざっていたためか講習会の内容は歩行技術など基礎的な事から始まった。 訓練するのに適当な斜面を見つけて、確保用のザイルを張る。何もない雪面での支点の作り方は、スノーピン(ボラード)という直径2m、深さ30cm程度の円形の溝を掘り、溝にザイルをかけて支点とする。弱層があると支点として使えない場合もあるため、雪の層の状態を注意しながら掘っていく。両端のスノーピンにザイルを張り、滑落した時に引っ掛かるようにする。ザイルの下部にピッケルで溝をつくり滑った時に止まるようにする。 次にアイゼンなしでの雪上歩行訓練をした。斜面を登る時はつま先を蹴り込んで登る。下る時は踵を蹴り込んで靴底が水平になるようにして歩く。これが意外と難しく、久保田講師のようにリズミカルに降りられない。完全に片方の足に重心を移動しないとバランスが崩れて滑ってしまう。続いてアイゼンを着けての歩行訓練。アイゼンを着けた場合は爪をすべて雪面に食い込ませる。下りも前の爪をきかせると安定して歩くことができる。 次に滑落停止を何パターンか練習した。注意点は、停止した後に必ず膝を着いて安定してから立ち上がること、アイゼンを着けている場合アイゼンが引っ掛からないようにすること(飛ばされたり、簡単に骨折につながるので)。実際の山では滑落停止を使う場面はほとんどないそうだ。それよりも転ばない、転んでも滑らないようすることが事故を防ぐ第一歩であるとのこと。 休憩後、山下・太田講師による隔時登攀のモデルを見学する。腰がらみ、肩がらみ、スタンディングアックスビレイ、スノーバー・デッドマンの利かせ方、ブッシュを利用する支点“イワシ”など。雪上での支点のとり方は臨機応変にその場の状況に応じて選択していく。実際には登っている人が見えなくなる場面もあるのでザイルの状態で状況判断できるよう練習を重ねることが重要だ。イワシ結びは非常に良くきくので覚えておきたい。 最後にMSCの3人は明日富士山に登るということで、アンザイレンしたまま登る方法を教えてもらった。真ん中に初心者を入れて5?6m間隔で3人を結ぶ。常にザイルは張った状態で歩き、真ん中の人がこけた場合すぐにザイルを引けるようにする。 大切な事をたくさん教えてもらい一度では消化しきれない内容であった。基礎的な歩行技術もまだまだ習得できていないと感じた。会の山行でもこのような訓錬を繰り返し行い、今日教わった事を確実にできるようになりたいと思った。 明日はいよいよ富士山に挑戦する。晩ご飯はキムチ鍋、明日は3時30分起床なので7時過ぎには就寝することにする。その夜、山本さんが小屋に顔を出しに行ったので、須藤さんと木村は先に寝袋に入っていた。山本さんが帰ってきてテントの入口を開けた途端、ロウソクの火がガスボンベに引火し大きな炎となった。これはマズイ、テントが燃えていく!ガスボンベを外に出そうともがいてるうちに火は自然に消えた。一瞬、あまりの出来事に一同声が出ない。被害はテント本体吹流し部分と内張りの損傷及び山本さんの眉毛が少々焦付いた程度であった。大事故にならなくて良かったが反省することばかりである。どうやらガスのヘッドが緩んでいてガスが少しずつ漏れていたようだ。面倒でも使わない時はガスボンベからヘッドを取外しておいたほうが良い。またテントの中でロウソクを点けたまま眠ってしまった。使い慣れないものを使用する時はもっと慎重にならなければいけない。いつも燃料はガソリンを使用しているが、今回ガスがどの程度使えるのか実験的に使用してみたのである。ガスの場合コンロの位置が高いため床が平らでないとなかなか安定しない。そのため調理中、常に誰かが鍋を抑えていなければならなかった。火力の調節はガソリンより簡単で火力も相当ある。250gの缶を一日一個の割合で使用したが、今回は雪から水を作っていない。水づくりを考えると相当な量のガスボンベが必要なのかもしれない。それにしても道具は使い方次第で良くも悪くもなるので気をつけねば。 2月11日(日) 3時30分起床、昨日のボヤ騒ぎでテントに穴が開いてしまいなんとなく寒い一晩だった。早速、朝食のラーメンを食べ準備する。5時15分佐藤小屋を出発、周囲はまだ真っ暗で空には星が輝いている。富士山に登るという事でいつになく緊張している。ヘッドライトの明かりを頼りに順調に樹林帯を抜ける。抜けた途端冷たい風の中にいた。ここから先は遮るものが何もないのでまともに風を受ける。木村の左足のアイゼンが外れたり、須藤さんが目出帽を被りたいというので小屋の脇で身支度を整える。 6時を過ぎると空がだんだん明るくなってきた。6時30分日の出。風は強いが天気はかなり良い。夏道をゆっくり登っていく、所々地面が露出している場所もある。どうも木村のアイゼンの調子がおかしい。セットしてしばらく歩くと左足だけ外れてしまう。昨日までは何ともなかったのに。セットしても靴の前の切れ込みに止め金が完全にはまっていない。ネジで締めようとするがネジが全く回らない。凍ってネジが回らないのかとお湯をかけてみるが全く動こうとしない。最後は止め金の穴の位置を片方だけズラしてはめてみることにした。なんとか切れ込みにはまっている。これでいくしかない。 この後はアイゼンが外れる事もなく順調に高度を上げる。7合目の小屋で休憩していると、前を歩いていた二人組が戻ってきた。風が強いので引き返すそうだ。確かに小屋のかげでないととても休憩なんてできない。行動食のパンも凍ってしまった。鼻や口の周りなどむきだしで外に出ている部分は感覚がなくなっている。なんとなく不安になるが、まだまだ時間も体力も余裕があるので上を目指す。ここからはアンザイレンして登っていく。 夏道もだんだん雪に覆われ杭の頭を頼りに雪の斜面を登っていく。昨日教わったアイゼン歩行技術のまさに実践という感じ。風は常に吹いており、時折飛ばされそうになるくらいの突風が襲ってくる。耐風姿勢をとるがなかなか風はやまない。固まったままでは進まないので一歩一歩足を出していく。 ザイルを結んでしばらくしてから木村の足取りがだんだん遅れていく。頭がボンヤリしてなんでもない所でフラついてしまう。体中の筋肉に疲労感があり風邪をひいた時みたいな感じになってしまった。なんとか前を行く山本さんについて行こうとするが、どうにも体がいうことをきかない。これが高山病というものだろうか・・・。最初は3人でザイルを結んでいたが、最後尾の須藤さんがどうにもザイルが気になって歩きにくいというので、途中で木村と山本さんのみでザイルを結ぶことになった。
8合目到着。
同じく8合目の山本さん。
富士山は白く輝いていました。
10時20分、8合目に到着。休憩をとってもらうが、木村はこの先進む気になれない。しかし、もう少し時間があるので行ける所まで行こうということで出発する。11時、なんとか一つ上の小屋(3,450m付近)に辿り着いた。見上げればあと一息という感じで富士山の山頂が見える。これ以上進めないという気持ちとあと少しという気持ちがせめぎ合う。このペースだと山頂に達するにはあと2時間くらいかかるだろう。また木村の体の調子がおかしく、これ以上進むと危険だと感じたので、ここで引き返すことになった。 下りは順調で苦しかった道のりをあっという間に降りてきてしまった。本当に良い天気で、眼下には山中湖や河口湖などが良く見える。振り返ると白く輝く富士山がそびえており、簡単には登らせないぞと言っているようだった。 気が抜けてしまったのか、樹林帯で道に迷い佐藤小屋までラッセルをして降りた。13時30分にテント場に到着、テントを撤収して馬返しまでさらに下る。馬返しまでの道が凍結していてツルツル滑って大変だった。約2,000mを一気に降りたので、足が変な感じになる。3人とも疲れきって思考回路停止気味、調布で解散する。 今回は盛りだくさんの内容でとてもいい経験になった。テントを燃やすなど反省点もあるが、厳冬期の冬山がどういうものなのか初めて体感できたように思う。耐風姿勢など今までピンとこなかったが、ようやく意味が分かった。また富士山に登る機会があればチャレンジしたい。 コースタイム(2月11日) 3:30 起床 ? 5:15 佐藤小屋(2,200m)発 ? 10:20 8合目 ? 11:00 3,450m付近の小屋 ? 13:30 佐藤小屋着 ? テント撤収 ? 15:00 佐藤小屋発 ? 16:30馬返し(1,400m)着
神奈川県山岳連盟・遭難対策委員会主催にて、山岳SCにて開催された。
MSCからの参加メンバー:
【講師】清野、両角。
【?岩場登攀救助グループ】山本、寺本。
【?縦走路救助グループ】清水、佐藤、野口、高森、小島、小林。
一部メンバーは前日13時から基本訓練を受け宿泊。大雨の予報にも拘わらず快晴。相模湾が一望できる好天。
?は事故者を背負っての下降、引き上げ、空中ケーブルによる下降、等。
?は、ロープワーク、簡易ハーネス、シート・ザックでの縦走路搬出法、等。
詳しくはこちら。
MSCからの参加メンバー:
【講師】清野、両角。
【?岩場登攀救助グループ】山本、寺本。
【?縦走路救助グループ】清水、佐藤、野口、高森、小島、小林。
一部メンバーは前日13時から基本訓練を受け宿泊。大雨の予報にも拘わらず快晴。相模湾が一望できる好天。
?は事故者を背負っての下降、引き上げ、空中ケーブルによる下降、等。
?は、ロープワーク、簡易ハーネス、シート・ザックでの縦走路搬出法、等。
詳しくはこちら。
メンバー (講師)門脇、清野(受講生)小笠原、作田、須藤、池田
冬山登山教室の最後を飾る谷川岳である。
3月10日
23時に谷川岳ロープウェイ(土合口)駅にて集合。そのままステーションビバーク。床暖房が効いていて、寝袋を使うと暑いほどである。
3月11日
8時にロープウェイに乗る。天気快晴で、長い冬山教室の歴史の中でもこれだけの快晴は珍しい、とのこと。11日に雪洞を掘ってから、翌12日に登頂、という計画だったが、天候がすこぶるいいので、登頂してから雪洞を掘ることに。ロープウェイを降りて、天神尾根の中腹で、雪洞が掘れそうな地点に荷物をデポして、再び登頂開始。11時には全員で谷川岳山頂に着。下山して、先程荷物をデポした地点から少し降りて、各班ごとに、雪洞を掘り始める。班によって多少のスピードの違いがあったが、16時くらいには4班すべて雪洞を掘り終え夕食を摂る。あらかじめ、丹沢の山岳スポーツセンターで打ち合わせたメニューを受講生各自が食材を持ちよって作る。天候もよく、初日で早くも登頂できたので楽しい夕餉となった。しかし、このあと、思いもかけぬ事故が発生。各雪洞での宴も終了しつつあった21時ごろに、Oさんがトイレに行こうとして足を滑らせ、そのまま西側斜面に400メートルほど滑落してしまった。たまたま、歯磨きで雪洞の外に出たSさんがOさんの助けを求める声を聞き、急遽、救助活動が行われ、11日深夜には、雪洞に引き上げられた。救助活動にはたまたま付近に居合わせた岩崎元朗氏主宰無名山塾のメンバーにもご協力頂いた。
3月12日
11日の事故から一夜明け、翌朝6時45分には、雪洞から尾根上に、Oさんが引き上げられた。群馬県の防災ヘリと連絡がつき、7時15分に防災ヘリが尾根上に到着、救助隊員の素早い救助活動により、わずか15分でOさんはヘリに収容された。そのまま沼田市の利根中央病院にヘリは飛び、入院となった。残った講師及び受講生は、慎重にロープウェイ駅まで下山。11時には閉講式が行われ、現地にて解散した。
基本的な装備と技術の大切さを教えられた山行でした。Oさんの1日も早いご回復をお祈りしています。
全員登頂?谷川岳山頂にて
天気快晴でどこから眺めても絶景
神奈川岳連・冬山教室/富士山 氷雪実技講習
日時:2月11日(土)?同12日(日)
場所:富士山吉田口登山道5合目周辺
MSC参加者:講師/門脇、清野 受講生/作田、池田、須藤
2月10日(金)正午、昼間入山組の生徒6人、岳連の他の雪山講習も含めた講師の方6人の12人が富士吉田駅に集合、スパッツ等の足回りを装着し予約したタクシーに乗り込み登山道へ向かう。雪が少ないためか運良く、”馬返し”まで行くことができ下車。1時過ぎ、即座に登山道を登り始め4時過ぎに5合目佐藤小屋着。3時間余りの登りで息はそれ程あがらないのだが、何となく体が重く、切れが悪い。昨年末からの、なんとなく風邪気味状態に気をとられ、事前のトレーニングを怠っていたせいだろう。別にいつも大したことをしている訳ではないが、階段の登リ降りを繰り返すだけで大分違う。 6時頃の夕食まで、講師の方々と一杯入れて談笑。山の世界に入って未だ1年にも満たない新入りの自分が、この道何十年の強者の方々の話を聞けるのは、興味深く、ありがたい。殊にKさんの豪放磊落ぶりには驚いた。夜中にトイレの扉を開けると、便器の上に座り、あの頭をうなだれて寝入っているのにはビックリ!。翌朝の”またやっちゃたか”に2度ビックリ。
夕食を摂って、9時過ぎに寝室に入る。噂には聞いていたが、この部屋はともかく寒い、いや冷たい。寝具は聞いていたほどの”煎餅布団”ではなかったが、部屋が冷蔵庫というより、チルド室状態。幸いこの日は宿泊客が少ないので、周囲の布団、毛布を掻き集め何枚も重ね、凌ぐことができた。
翌朝6時起床の予定であったが、夜半組の睡眠を考慮し7時前起床、朝食を摂り9時過ぎから以下の通りに実技演習。
1.アイゼン歩行?始めの一歩
先ずアイゼン歩行訓練を各班(4班)に分かれ佐藤小屋周辺で行う。バンドの長さ、締め付け方等何人かアドバイスを受けるが、概ね順調。
2.斜面でのアイゼン歩行
スバルラインを西側に500m程行ったところの斜面に全班移動し、歩行及び滑落停止訓練。始めにアイゼンを履いての歩行登攀。足裏全体を接地し、アイゼンの爪全部を効かせて雪面を歩行。登りは良いが、下りが上手くいかない人が結構多い。踵から接地してしまいがちに要注意。
3.滑落停止
次にアイゼンを付けたままの滑落停止訓練。これが今回の訓練の核心と言える。
先ずは、斜面に仰向け状態から右回りに腹這いになり、ピッケルのピックを右胸の辺りで右手(利き手)で斜面に刺し体重を載せ、左手はシャフトの下を左腹の辺りで握り、かつ両脇をしめて停止する。アイゼンが接地してひっかからないように膝から下を折って上げる。それが出来れば今度は左周りに一回転して同じことをやる。ここで大事なのはピックにしっかりと体重を載せること。これが充分でないと、ピックが体から離れ、上方に残ってしまいぶら下がり状態となり、ピックが突き刺さらないためズルズルと落ちてしまう。(何だか出来の悪いマニュアルを書いてるみたいだ。経験者にはあまりおもしろくない。来年の新人の方への体験談かな、これは。)次は、頭から斜面にうつ伏せになる逆さ状態からの滑落停止。斜面に立って下に飛び込むようになるので、結構勇気がいる。頭、胸から飛び込んでうつ伏せになった後、先程と同じようにピッケルを雪面に刺し込むと、ピックを支点として自然と体が時計回りに回転して停止状態に入る。
飛び込む分、勢いがついているので、先程のように簡単には停止してくれない。ピッケルを抜き直して、2度、3度ガツンとピックを刺し直す人もいる。僭越だが、私には刺し直しはあまり意味がないように思える。抜いている間にまたズルズルと落ちてしまい、まして勢いが着いてしまうように思える。それだったら、ピックを体に引き寄せてしっかりと体重をかけた方が良いのではないか。私はずっとそれで通した。勿論斜面、積雪の状況によるにも違いないが。
最後は背面、頭からの滑落状態での停止。斜面を後ろにして後頭、背中から飛び込むのだから勇気だけでなく、少し複雑な動作を整理する頭も必要に思える。ただ実際にやってみると頭はあまり必要ないことが後で分かる。
久保田講師が1人目を30才代と思しき人(年齢は関係ないか)を指名する。見事に成功。
2人目に私が指名される。ドキドキしながら斜面の飛び込み台に上がる。あまり考えずに飛び込んでみる。仰向けになって頭から斜面を落ちる自分が分かる。分かるが、肩から吊るしたピッケルバンドがアイゼンに引っ掛かってしまったのが目に入る。瞬間どうしていいか分からない。はずそうかと思っているうちに、スルスルと滑落し続け下にいるギャラリー(ストッパー)に頭から突っ込んでしまった。 くそっ!思いは、恥ずかしいより実に悔しい。
これ以上は危ないからということで背面飛び込みの訓練はこれで終わってしまった。
その後の休み時間に、清野さんに見守ってもらって背面、頭からの滑落停止を試みる。今度は出来た。ほっとする。頭から下に背面滑落したら、右に反転しながら例の如くピックを右胸の位置で突き刺すと、そのまま反転すると同時にピックを支点に体が上から下に回転する。つまりは、頭が上へ足が下へ時計回りに回転する。
見た目程複雑ではない、滑落状態になったら、右に反転してピックに体重を載せて突き刺せば、勢い、体重、ピックの支点で自動的に滑落停止の体勢になる。
背面から飛び込むので勇気がいるのと、回転動作に気をとられて膝を曲げてアイゼンが接地しないように要注意である。
4.斜面でのアイゼン無し歩行
いわゆるキックステップを使った歩行。直上する時には雪面に鉛直に直角で蹴りこみ、つま先回りの水平の棚を作り、右、左と繰り返しながら登っていく。
トラバースする時は、谷足(斜面に立って谷の下側になる足)を20?30度開き、逆の足は斜面に平行にキックステップする。このトラバースは斜め上気味に登るのは問題ないが、斜め下に下りるのが少し難しい。谷足のキックステップが、下に足、体を落としながらやるのでバランスを崩しかねない。清野さんに聞いたところ、下りのトラバースは登りのそれと比べると半歩ずつ行った方が良いと聞いて得心する。
直下降は結構難しい。アイゼン歩行とは違い、踵を雪面に鉛直、直角に落とす。体重を充分に載せないと、踵が雪面にめりこんでくれず、スリップして転倒してしまう。片足が接地すると同時に残った後ろ足は雪面から離れていないと、体重が載ってくれない。恐る恐るやると後ろ足が残って前足踵に重心が移動せづ、のけぞって尻餅をつくことしなる。
2、3回繰り返して、何とか体裁を整えることができたが、まだ少しぎこちない。
作田さんが非常にうまかった。体の大きさといい、身の動かし方といい何だかロボコップのようなのだか、実にしっかりと踵で雪面をとらえて降りている。井上講師にしきりに褒められていた。いつも門脇さんにボロクソやられているが、この時はまるで水を得た魚のよう。
5.カンジキ歩行
斜面での歩行、滑落停止訓練の後、小屋への帰り際に斜面の小樹林帯にてカンジキを装着して歩行訓練。少しきつめの斜面で下り登りするが、結構息があがる。カンジキが雪にめりこんでそれを持ち上げる際、雪を引っ掛ける。その時重いからと充分に脚をあげないと、次の一歩が充分に前へ出ず、進まないことになる。
とにかく充分に脚を上げること、というのが門脇さんの指摘だった。
上記一連の訓練を終えて、3時半頃小屋へ到着。装備類を整理して、体を温める。その後一杯飲りながら、各班毎に次回谷川の打ち合わせ。そして夕食は鍋。大いに食べて、飲んで早い人は8時に、大概の人も9時頃就寝。昨日より大勢になったせいか寝室が昨日より暖かい。ぐっすり心地よく眠れた。
翌朝6J。忘れかけていたところなので、復習できたのは良かった。
その後は、昨日と同じ斜面で2グループに分かれて滑落停止訓練。各自数回行うと、慣れたもので皆、恐怖心、体の硬さが取れすんなりとやってのける。中にはアクロバットのように飛び跳ねているような人も。皆、動きに停滞がないので、直ぐに自分の番となって休む暇がなく、息があがってくる。11時少し前となったところで、小屋に戻り、昼食をとり、荷物をまとめて下山準備。
1時前に下山を始め、1時間半ほどで、全班無事”馬返し”着。終了式を行い。班毎にタクシーに乗り込み、解散となる。
今回の講習は、雪上歩行と滑落時の停止という雪山での本当の初歩であったが、その初歩でもかなり難しいことを改めて理解する場だった。滑落停止はもとより、雪上歩行も思っていた以上に難しい。講師の方々が仰るように、山行の都度意識して繰り返し反復しないと自分のものとはならないことを肝に銘じたい。
以上
神奈川岳連主催の遭難対策講習会が27日開かれました。MSCからは以下のメンバーが、26日のプレ講習から参加。記録はもう少しお待ちください。
メンバー 清野(講師) 登攀組:上林 寺本 橋本 両角 一般縦走組:古屋 西舘×2 須藤
26日はロープワークを中心とした講習。
暗くなるまで講習は行われました。
夜は恒例の……。鴨居で懸垂する人たち。
登攀組は救助者を背負っての懸垂下降など4メニュー。
ザックでけが人を搬送する訓練も経て、
最後には実際にけが人(役)を救助するシミュレーションをおこなって終了しました。