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msc_kiroku2 2005-1-10 23:50
会山行:八ヶ岳天狗尾根
1月7日(金)?10日(月)
メンバー:清野CL 門脇SL 清水、寺本、古屋、西館章子、西館彰芳(記録)

1月7日(金)晴れ
 深夜23時にJR八王子駅南口集合。
 中央自動車道小淵沢ICを降りたのが25時前後。ICを降りるとうっすらと雪が降っている。コンビニで燃料と食事を仕入れ、小淵沢駅へ。先客と思われる登山者は2名、あとは乗り過ごしの女性2名。軽く祝杯を挙げて就寝。深夜3時頃の到着列車があったらしく、朝には8人ほどビバーク者が増えていた。
 
1月8日(土)晴れ
 5時45分始発に合わせて起床。各自朝食をとって出発の準備をする。朝お湯を沸かすと思いこんでいた西館は、あわててコッヘルとストーブを出してテルモスにお湯を満たす。美し森駐車場到着は7時30分。偶然にも蝸牛の山下さん、太田さんら5名のパーティと遭遇。
 さっさと仕度を整えた私たちは先行して出発。林道は15センチほどの積雪。歩くのにまったく苦労はない。8時半に1本とる。その後堰堤を4カ所ほど越え、約1時間で出合小屋到着。南の沢へ向かい天狗尾根を目指す。平坦な沢から突然の急登。急登といっても200mもない、ピッケルとアイゼンで支点を作りながら上がってゆく。途中から左手のブッシュへトラバースして、藪を抜けると稜線へ。2100m地点に平坦な場所があり、そこに幕営することにする。時間はまだ14時をまわったところ。テントは2張り。例によって「煙突組(門脇、清水、古屋、西館章子)」と「空気清浄組(清野、寺本、西館彰芳)」に分かれ設営。その後食事の準備を始めようとするが、大テントにも7人収容は無理と判断し、食事も二手に分かれる。夕食は清水シェフによるカプサイシン満点の鍋物。
 
1月9日(日)曇りのち雪
 起床は5時。しかし3時過ぎから強い風の音が聞こえる。テントごどにラーメンの朝食を済ませて出発準備。天候を眺めながら出発を遅らせ、8時にスタートする。風と雪はあいかわらずだが樹林帯ではたいした影響を受けることもなく、順調に歩を進める。……といっても、新人を含むパーティのこと。順調というのはウソ。次々と登場する岩場やミックスの壁に、西館章子、遅れはじめる。樹林帯を越えると風が強くなってくる。雲間をついて周囲が見えてくる。(この辺りから前後関係が不明確になってきます。すいません)象徴的な岩がある。あれが「カニノハサミ」だろう。その後手強そうな岩稜が現れる。
 右手を巻くことになるが、ここで清野CLがロープを設置(と思ったものの、残置でした)。不確かな足場の岩場を10mほどトラバースの後、直登。取り付きからは見えなかったが、直登が20mくらい(感覚的には50mはあった)で、最初の一歩を岩に載せるのに苦労する。先頭は清野CL続いて古屋、清水、寺本、西館章子、西館彰芳、門脇SLの順に通過。フィックスロープにタイブロックをかけ、まずはトラバース。ホールドがあるがオーバーグローブでは難しいためインナーで望む。それ以上に難しいのがアイゼンでの岩場歩行。ミックスといってもほぼ岩面で、しかもホールドが小さい。アイゼン初心者には最初の核心だった。
 最初はトラバースと直登を終えるまで待っていたが、寒いので直登点で再待機。ここへ赤ロープを持って清野CLが降りてきてくれる。ロープには支点となるループがいくつも作ってある。両手をロープで確保できたため、安心して取り付きを上がることができた。残置ロープは途中までで、頂へは清野CLが設置したロープに乗り換え。付け替えるといってもタイブロックはひとつしかない。本来は次のロープをビナで半マストで確保してからタイブロックをはずすのだろうことは重々承知なのだが、指が動かない。幸いにも足場が安定していることを確認し、右手を赤ロープにからめた状態でタイブロックの掛け替え。ゲレンデなら叱られるところだが、背に腹は替えられなかった。
 この通称「ニセ天狗」の後ちょっとした岩峰を越えるが、ここが吹きっさらしで顔が痛い。西館章子が立ち止まると「稜線で止まるな! 急速に体力がなくなるぞっ!」と門脇SLに叱咤される。
 次いでホンモノの大天狗へ。
 先行した清野CLは左へまわりこんで雪付きの少ない岩稜を登ろうとするが、門脇SLから右ルートではないかとの指摘あり。門脇さんは踏み跡もない右崖にわずかな足場を見つけ、ラッセルしながらルートを探す。ここが急斜面で雪も腰までという状態。順番が逆転してしまったため、門脇さんの後ろに西館が続くが、手の出しようがない。翌日反省会で「オレが一所懸命ラッセルしてんだから、誰か「代わりましょうか?」と言い出すかと思ったが、だれも来やしねぇ。まだまだだな」とおっしゃってましたが、すいません。本当に手も足も声も出ませんでした。
 ところでこの時期の八ヶ岳は雪質がとても良い。いくら踏み固めても固まらないほど水分のないパウダースノー状態。だからラッセルの苦労も半端ではない。セカンドの西館は「ヤマケイ登山教室-氷雪テクニック-」で読んだばかりの「深雪は左右から雪を集めて、それを膝で圧縮して足場を作る」を実践するものの、ほとんど気休め程度でしかない。右側は切り立ったエッジ、足場を作るより滑落しないようにすることに気をとられていた。
 20〜30mほどトラバース後、灌木の生えた急斜面を直登する門脇SL。ただ眺めているだけの自分。停滞状態に業を煮やした清野CLがみんなを追い抜き、自分の後に登ってくるように指示を出す。フロントポインティングで立ちこみ、ピッケルで支点を作りつつ上がる。ほんとにKADOWAXは効く。スイングして打ち込んで、スピッツェを押しつけて支点にする。あとは(本で読んだ)アイスクライミングのシングルアックスの要領で、ヘッドを押さえながらのしあがってゆく。登り詰めると視界が開けた。ここが頂上直下の露岩帯だ。
 難しい場所ではないものの風が強く、左右に振られれば滑落の恐れがあるため、ここでも清野CLがロープを出す。西館彰芳は最初に登って露岩岩を登るメンバーを眺める形に。ここで撮ったのがHPにある動画です。本人は静止画のつもりだったのが、いつの間にかポジションが変わっていました。お陰で見たこともないような動画が撮れたのですが……。ここから登り詰めたところが頂上。動画データを見ると、ラストの西館章子が登頂したのは14時24分でした。

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 ここから下りが始まります。下りは一般登山路ですが、キレット小屋までははしご、鎖、ガレ場と続きます。前半のペースを落としたのは西館章子でしたが、下りは西館彰芳が足をひっぱることに。空気の薄さもあって登りから呼吸が荒かったのですが、登りは登攀速度も遅いためなんとかついて行けました。ところが下りは……。

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 登りは予想外にいいペースだったものの、下りで時間をとる。ガレ場にルートを探しながらキレット小屋に到着。ここで一本撮ったのが15:45分。いったん登り返しその後急斜面を一気に降りることになるのだが、雪に足をとられすっかりペースダウンしたのが西館彰芳。すでに太股の筋肉はパンパンで、本来なら一歩も歩けないところ。正対での下降を諦め、カニのように横歩きでサイドエッジを効かせて降りる。
 途中左足のアイゼンがはずれ、門脇さんの助けを借りて付けようとするものの、下半身に力が無く自力では履けなくなってしまう。しかもバランスを崩して谷筋へ滑落、すんでのところで門脇さんに左足を確保してもらう、という状態だったことをほとんどのメンバーは知らないことと思う。
 登り返してツルネの東陵から下ろうという時点で日は落ち、ヘッ電頼りの下降だったこともあって時間がかかる。灌木帯から笹藪に入り、やっとのことで権現沢出合小屋に到着したのが20時過ぎ。ここまでくればあとはただ歩くだけ。途中一カ所難しいところがあるため、門脇SLより西館両名はアイゼンを履いたまま。他はつぼ足でとの指示が出る。10分ほど過ぎた頃だろうか? 清野CLの「これから下山を開始する」の力強い一言が妙に印象に残っている。 
 しかしこれで終わったわけではない。地獄沢経由林道歩きで駐車場に到着するまでは約2時間。駐車場到着は22時30分。途中清野CLが宿泊先の清里YHに電話を入れてくれたおかげで、23時過ぎにもかかわらず暖かい食事とぬるめの風呂にありつけた。
 
 下山途中、あまりのつらさに意識を閉ざした西館彰芳がほぼ眠った状態で先行するメンバーの歩みを追っていたこと。ちょうどその頃西館章子も幻覚を見ていたことも、ここに記しておきます。ほんとうに皆さん、ご迷惑をおかけしました。
 
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 出発前、2度も大鳥居詣でを受け、アイゼン他装備の点検や服装についてのお教えいただいた門脇さん。装備の軽量化と省容量化を口が酸っぱくなるほど言い聞かせてくれた清野さん。弱音を吐く章子を笑って励ましてくださった清水さん、ことあるたびに声をかけてくれた寺本さん、古屋さん、ほんとうにありがとうございました。
 山行記というより冗長な反省文となってしまいましたが、このような2日間であったことを報告させていただきます。翌10日に起きた清野CLと官憲との一幕、それを尻目にそごう9階で4時間に渡って繰り広げられた大反省会については、参加メンバーからお聞きください。
 これらは清水さんの名言「どうも、うちの山行は下山後に核心部があるようです」という一言がすべてを物語っているようです。

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