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山行記録 カレンダー
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msc_kiroku2 2007-9-2 23:50
日程    2007年8月31日(金)夜?9月2日(日)
山域等   奥日光中禅寺湖源流柳沢
山行形態 沢登り
参加者   清野、須藤(記録)

 ハードだった岩井又沢の2週間後、当初奥秩父の滝上谷あたりを計画していたが、天候が芳しくないのと、岩井又で痛めた体を癒すべく静かで、風光明媚な奥日光の沢にした。

 8月31日(金)21:30つくば゙エクスプレスおおたかの森駅集合、清野車にて奥日光戦場ヶ原へ向かう。
 10:30 戦場ヶ原着、国道沿いに2匹の雌鹿に出迎えを受け須藤知人所有の小屋に入り、1:30就寝。

 9月1日(土)起きたら6:45だった。小屋の中だからか快適に良く眠れた。朝食を摂り、7時半過ぎに小屋を後にし、車で赤沼の駐車場へ向かい、8時丁度の千住ヶ浜行バスに乗る。10人程しかいない。バスは小田代ヶ原を通り樹林が心地良い。8:22に西ノ湖入り口で下車、柳沢川沿いの林道へ向かう。唐松の樹林を抜け柳沢川沿いを歩く。40分程で林道が途切れ、川を渡り遡行を始める。遡行と言っても、明瞭な踏み後が沢沿いにあり、また水の中を歩く訳でもなく登山、ハイキングの延長と言ったところだろうか。ただ人は全くおらず明るく開けているので気分がいい。陽があたり、暑いのに少しまいったが。さらに40分程で赤岩沢出合に着き、右俣に入ってすぐのところにある4段80m赤岩の滝を見に行く。

数分狭い渓を上り、左へ曲がるといきなり視界が開け、文字通り赤い岩をした落差のある滝が目に飛び込んでくる。なかなかの眺めである。1段目まで上がって上を見てみると、最上部の4段目が結構立っているが、ホールド、スタンス共にありそう。また良く見ると目の前の岩に目新しいリングボルトが打ってあった。

今日のところはここまでにして明日帰りに登ろうということにして、再び2俣に戻り柳沢本流を遡行する。再び狭い渓を歩いていくと木々が所々根こそぎ倒れており、両岸ガレ場であまり良い気分ではない。そそくさと上っていくと再び両岸木々に覆われ、ナメも現れるようになると二俣に11時に着く。左俣の少し上に幕営にピッタリの場所を見つけ荷物をデポする。右俣を黒岩の滝を目指して上がって詰めていき、稜線直下で左へトラバースし、左俣へ入り下降してこようということで、遡行を始める。右俣に入るとすぐに赤い岩のナメが続き、どこもヌメって滑りやすい。3m?5m程のナメ滝が次々に現れ、それなりの眺めで楽しい。

だが0?40分もすると水は涸れ、笹薮漕ぎとなる。稜線直下の凸部をぐるりとトラバースするはずなのだが、その凸部がどこかなかなか判明しない。ここら辺だろうと当たりをつけてトラバースする。奇妙なことに藪を横切る明瞭な踏み跡が続く。まるで仕事道のようだが、こんなところにある筈はない。清野さん曰く、獣道だろう、ということで、確かにそうとしか考えられないが、あまりに明瞭なので不思議な感じだった。40分ほどトラバると小さな沢型に出会う。これだろうということで、下降すると直ぐに左俣本流だろうと考えた流れに合流する。2つほど3?5m程の滝を降りていったら、何と元の右俣に戻ってしまった。何故だろうと思うが訳が分からない。後日、清野さんが調べたところ右俣に入って直ぐに本流である右沢と支流となる左沢があり、支流である左沢に黒岩の滝があるのだが、どうやらそこを右沢へ行ってしまい、トラバースして出合ったのは左沢だったらしい。そう言われてみると確かにそうである。
 ともあれ13時半頃幕場に戻り、タープを張って薪を集める。こじんまりとした幕場だが、沢の流れ、水の音も心地良い。何より虫がいないのが快適で、悠久とした時間をまったりと楽しんだ。

 翌朝、6時前に起床。ゆっくりと朝食をとり、同沢を下降。登ろうと思っていた赤岩の滝へは寄らずに下山。西の湖入り口バス停10時過ぎ着、バスに乗り、赤沼茶屋へ。湯元で温泉に浸かり、2時半頃清野宅に着き反省会。
 今回はとてものんびりとした沢旅だった。前々週の岩井又沢がハードだったので心身共にリフレッシュするのに非常に良かったと思う。スケールが小さく、ロープを一度も出さず登攀性もなかったが、こうした人もあまり入っていないマイナーな沢を暇ある時に見つけておいて、ふと思い立った時に行ってみるのも一興だ。

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msc_kiroku2 2007-9-1 0:00
山 域   奥秩父/久渡沢・ナメラ沢
日 程   2007年08月31日(金)夜?09月01日(土)
メンバー 木村(CL)、羽生田(記録) 
山行形態 沢登り
天気:曇り

 21時に若葉台に集合し、車にて道の駅みとみへ向かう。先週と同様、0時半に就眠。
 朝食後、雁坂トンネル入り口の手前の駐車場に移動し、徒歩にて林道を沓切沢橋へ向かう。
 先週の鶏冠谷の反省会で話題にでた、意味の解りにくい看板に着く。

 沢仕度を済ませて7時13分 沓切沢橋の上流側約50mより入渓。
 遡行開始して間もなく、最初の階段状(4m)の滝の下りは安全第一に右岸を巻く。出合った久渡沢を遡り、二俣を左に、ナメラ沢に入る。小雨がぱらつき先の天気が気にかかる。
 唯一の滝(2条5m)は、流れに取り付く手前で、リーダーの「寒い。」の一言で変更。

 右からバンド沿いに2条の間に進み、マントリングぎみにして登る。
 本日メインのナメ滝(10×20m)は、およそ5mほど登ったところで滑り落ちた。

 幸いにも滝の取付きまでは落ちず、途中の窪みで止まったが、滑った直後に右膝を強か打つ。滑り落ちを見たリーダーは滝の右側へ移動し、若干、慎重に登る。
 その後は、現れるナメ上で立ち込みの練習を積極的に行いながら遡行する。

 稜線への登りを開始して30分、沢仕度を解いた後は斜め右へ右へと登る。(後で、稜線まで高度50mの地点であったことが判り、休憩時の地点確認とルートファイディングが課題となる。)なかなか稜線へは出ず、針葉樹の幼木が密生する中の藪漕ぎとなる。
 稜線に出てからは10分ほどで破風山に着く。
 下りは30年来の念願であった雁坂峠を経て駐車場へ。

 白龍閣で浸かった後は少し戻った店でほうとう食べ、反省会は永山。
 新人だけでの山行とナメの練習は無事終了した。

6:20 駐車場発(雁坂トンネル入口の手前)
7:13 「沓切沢」橋の上流側より(遡行開始)
7:42 2条5m(唯一の滝)
8:18 10×20mナメ滝
10:15 稜線への登り開始
10:40 稜線
11:51 破風山山頂
12:20 山頂発
13:04 雁坂嶺
13:28 雁坂峠
14:41 沓切沢橋
15:10 駐車場着

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msc_kiroku2 2007-8-28 0:00
日 時 :2007年8月28日(火)
場 所 :奥多摩・日原川・倉沢本谷
メンバー:中山(CL)、木村(記録)

 8時に奥多摩駅集合、バスに乗って倉沢で下車。平日なので通勤者と逆方向に行くのがうれしい。中山さんはマイモ―ズの悪場突破、木村は去年カミナリで途中敗退した倉沢本谷のリベンジという目的で入渓した。マイモ―ズの悪場は倉沢のバス停よりも下流にあるため、倉沢本谷に降りてから沢を下降する。へつりや渡渉を繰返し、ややゴルジュっぽい所まで下降する。この先も面白そうだが急流に阻まれて今回は断念する。
 気をとり直して来た道を登りかえす。木村が先頭にたって歩くが、簡単な場所でもどこを歩けばいいのか迷ってしまう。去年も苦労した2段6m程の滝があらわれる。釜を泳いでとりつき残地シュリンゲをあぶみ代わりにして一段目を登るのだ。シュリンゲに足をひっかけるが滝の上にあがれない。1回目は落ちたが、2回目は腹這いになってなんとか体を持ち上げた。去年からあまり進歩してないような気がするが、今回はかろうじて一人で登れた。


 途中、鍾乳洞から水が湧き出している場所を通る。どんなものか水を飲んでみる。普通に飲めるがこれといって特徴はない。その後も小さな滝が所々出てくるが、たいてい釜をもっており積極的に水に入って登っていく。5m程の滝があらわれる。釜を泳いで小さなテラスに上がってから登るのだが、テラスが傾斜しており水の中からだとどうしても上がれない。中山さんにトップを交代してもらい、ザイルで上げてもらう。自分一人では突破できない所だ。さらに上流に進み魚道のある堰堤を抜け、魚止めの滝を見学して、時間切れのため塩地谷へ行くのは断念し今日の遡行は終了することになった。

 泳ぐのは楽しいが、泳いで水の中から滝にとりつくのが難しいと思った。足が届かないと腕力で這い上がるしかないのだろうか。泳ぎのある沢でもっと経験を積みたいと思った。

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msc_kiroku2 2007-8-25 0:00
日程    2007年8月24日(夜)?25日
山域    笛吹川東沢・鶏冠谷左俣 一の沢
山行形態 沢登り
天気    晴れ
メンバー  平川CL、木村SL、羽生田(記録)

 21時に谷保駅前に集合し、平川車にて道の駅みとみへ向かう。23時前 予想外に早く到着。何時ものごとく0時半に就眠。
 朝食後、西沢渓谷バス停下の駐車場に移動し、沢仕度を済ませて6時20分出発。7時13分 鶏冠谷出合より遡行開始。

 魚止めの滝を巻いた後、釣り人が先行する次の滝は右岸を巻いて小休止。本谷を遡行する予定であったが、尾根下りが一番短く、また、SLの希望により登攀要素の強い一の沢に予定を変える。


 最初のロープを出してもらい、くの字の滝を登り、9時 二俣に到着。木村SLの課題、登攀力アップのため一の沢(SLも入渓されたことがないとのこと)に入ることを再度確認して9時14分出発。
 ガイド(東京周辺の沢)にはショルダーにて乗っ越すとなっている滝を巻き、続く出合のスラブの滝を巻いて一の沢に入る。


 狭いゴルジュを攀じ登り、10時53分 詰め上げを開始。
 リードの平川さんを確保するため支点の取れそうな足元の岩場を探ると、なんと、ほしいポイントに残置のハーケンを見つける。3人でこのルートに違いないと納得する。
 1ピッチ上がり、再び平川さんがリードでさらに上のスラブに取り付く。
 途中、1本ハーケンを打った後ルートを左岸方向に探るが、草付の具合が悪いため右岸に戻って尾根の付け根に無事取り付く。
 この間、落石が起こり、頭ふたつ分の岩がこちらにめがけて迫ってくる。
 木村SLはビレイ中のためその場に留まるが、私が右に交すと岩は2人の間をうまくすり抜けてくれた。その後、ロープの残り(10m)を伝えなかったため平川さんに迷惑をかけてしまう(後で大いに反省した)。
 しっかり打ち込まれたハーケンを登攀記念に残して左の尾根に取り付く。
 尾根に取り付いてからは石楠花のやぶ漕ぎになるが、またもロープを出す場面に直面。平川さんのリードで無事乗り切った後、今度は私がやぶ漕ぎの先頭に立つ(スラブと違い、手がかり足がかりの豊富なやぶ漕ぎに安堵した)。
 14時34分 稜線に到着。鶏冠山頂上を目指して5分間ほど右へ進むが、時間が押しているため登頂はあきらめ、反転して鶏冠尾根を下る。

 第3岩峰を巻きその先で休憩。眼下に眺望しつつ遡行を振り返り満たされた時間に浸る。2回の懸垂下降(尾根下りでは初めてで緊張した、と言うか疲れが出始めていた)の後、ドンドン下り東沢の出合へ向かう。
 東沢出合の手前にある小淵に飛び込み3人で一泳ぎする。下りで体が火照っていたので冷たさがとても気持ちいい。きっとこれも沢登りの醍醐味のひとつに違いない。
 途中の河原の淵でさらに一泳ぎ、水温も程よくこちらは天然のプールだった。
 18時25分 駐車場に到着、最短コースを選択したのだが着いてみると一日がかりの行程になった。車に乗り込み白龍閣へ。「コウノトリの巣」が架かるような屋根のある露天風呂に浸かった後、谷保に戻り反省会。登攀力アップの成果確認と次なるナメ歩きの遡行を計画した。


6:24 駐車場発
7:13 鶏冠谷出合(遡行開始)
8:17 くの字の滝
9:00 二俣
9:35 一の沢出合
10:15 狭いゴルジュ
14:43 稜線着
15:17 第3岩峰下(1986mピークの先)
17:40 鶏冠谷出合着
18:25 駐車場着

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msc_kiroku2 2007-8-14 18:42
日程      2007年
山域      朝日連峰/三面川/岩井又沢
山行形態   沢登り
参加者     清野(CL・記録)、門脇(SL)、山本(食当)、須藤(食当・装備)
記録
8/13(月) 晴れ
 20:00にTX流山おおたかの森駅に集合して須藤車に乗り、常磐・磐越・東北・山形道を走り、寒河江ICでおりる。仮眠場所は最上川ふるさと総合公園の中を巡り、JA売店兼喫茶店の軒下とする。その前に朝飯と入山祝いの酒を仕入れるためにコンビニを探したがなかなか見つからず手間取る。知らない町の夜中を侮ってはいけない。仮眠した公園は最上川沿いにあるのだが、寒河江ICに併設されたハイウェイオアシスとかで、やたら開けていて近くにでかいホテルや温泉施設があるのでわれわれは場違いな感じ。酒を軽く飲んで26:00に寝る。

8/14(火) 晴れ
 案の定翌朝は朝日が直接差し込みゆっくりと寝ていられない。レンタカー店は8時開店なので共同装備分けや所用を済ませ、レンタカーをちょっと早めに借りに行く。2台に分乗して下山予定の日暮沢小屋に須藤車を置きに行き、借りた車で新潟の村上に向かう。村上でクルマを返して、タクシーで奥三面林道の終点に14時半着。
 駐車場からの登山道は三面川の右岸沿いにあり、それを1時間ほど歩くと本流におりる明瞭な踏み跡がある。最後の支度をして入渓、さっそく現れるアブ対策に防虫ネットをかぶる。でも思っていたより少ない。去年の早出に比べての話だが・・・。水量はどうやら平水より少ないようだ。おまけに今年は異常な寡雪だったので、核心部の雪渓の残りも少ないはずで、なんとなくうれしい。でも翌々日にあんな目に会おうとは・・。
 いきなり出てくる淵は左岸から越える。一回休憩して初日の幕場は万四郎沢出合上流に見つけた左岸の草地にとる。開けた草地なので、ここはヌカカよりアブの世界。蚊帳を張って中に入り、しばしアブ退治。徹底的に叩き潰す。ヌカカには蚊取り線香が威力を発揮、がんがんに焚く。時々訪れる蛾はご愛嬌。翌朝起きてみると蚊帳の上には累々たる虫の死がい。


8/15(水) 晴れ
 今日からはいよいよ本格遡行なので期待に胸躍る。5時前に起床、各自アブ対策をして6:55幕場発。天気は最高、水面がきらきら輝いて美しい。今日はどこまで行けるやら・・・。
閑話休題。各面々の防寒を兼ねた防虫対策の紹介。
門脇・・・上;長袖ネオプレーン(前日は半袖で懲りる)+フード付網ジャケット、下;ネオプレーンタイツ。 
山本・・・上;長袖シャツ+カッパ+防虫網、下;普通。
須藤・・・上;袖なしネオプレーン+長袖シャツ+フード付網ジャケット、下;普通。
清野・・・上;半袖クロロファイバー+長袖シャツ(後にカッパ着る)+防虫網、下;普通。
 清野と山本は水が冷たくないので持ってきたネオプレーン上下は結局使わなかった。アブ対策に手袋は必需品。カッパの防虫威力は手首がやられないのでなかなかのものである。
幕場すぐ先での朝一番の淵は胸までの渡渉となるが、冷たくないので全然苦にならない。さぞかし雪渓が少ないのであろう。次に現れる右奥に2?3mの落ち込みのある淵は右から巻く。休憩後出てきた右曲がりの淵は奥からドドドと滝の音が聞こえる。右の岩に清野が登って確かめて見たところ、大釜を持った直瀑があり、直前の左岸のルンゼも登れないので、少し戻って右から巻く。巻く途中に直瀑がよく見える。二度の巻きとも釣り屋が結構入るためかはっきりと踏んだ後が残っていた。左右に次々と枝沢を見ながらゴーロ歩き、へつり、渡渉を続け順調に遡行を続ける。
 
最初のロープ使用は9時半過ぎに出てきた流れの強い淵だ。ここは山本がライフベストをつけて空身で右岸のへつり泳ぎから壁を蹴って左岸に巧みに渡る。後続は各自のザックに?まりロープで引っ張ってもらう。このあと何度も出てきた今山行の泳ぎの仕掛けは基本的にこの仕様で行く。ちなみに登攀系は固定ロープにタイブロックを使った登りか、通常の確保。そして時々荷揚げだった。
 10時過ぎに大釜を持った5m位の滝を右から越えると左岸からすぐにオクゾウ沢が出合う。このあと何回かロープを出しながら、ゴルジュを抜けた12時ちょっと前に昼食を食べる。今回の山行でも昼飯は朝炊いた飯に漬物のおかずだ。時々レトルトの魚の甘露煮が付く。満腹になって元気が回復する。12:00遡行再開、しばらくゴーロが続く。ヨージロウ滝着は12時半前。
越えると真正面に大岸壁、右には深くルンゼが切れ込んでいる。ここを過ぎると沢は左に大きく曲がりふたたびゴルジュとなり、巨岩の間を進むようになる。ここまでとても順調に来たので、今日の幕営予定地の中で最遠として考えていた畑沢まで行けてしまうのでないかと思った。結局、巨岩帯の通過に手間取って一番手前で考えていた大上戸沢のすぐ先になってしまうのだが・・・。
 巨岩帯の通過は淵でロープを出したり、チムニー状を這い上がったり、フリクション登りがあったりとパズルを解くようで実に楽しい。フリクション登りでのステルスラバーの威力は岩井又でも発揮される。ちゃちな作りで縫い目が切れてくるので強度は弱いけど、乾いた岩での登攀性の高さは特筆ものだ。
 中上戸沢には14時過ぎに到着する。重たい荷物を担いでの巨岩帯の遡行が続き、昼食以降はめっきりと速度が落ちてきた。この先一回泳ぎでロープを出し、川前裏沢には着いたころには16時を過ぎていた。ゴルジュを抜けて大上戸沢の先までは行こうと気合を入れ直す。最後の6mほどの大釜を持つ滝は左から越えるが、先ですぐにおりられない。右岸の草つきのスラブ状を門脇リードでロープを出して沢床におりる。大上戸沢を通過するころには17時を回ったので、左岸に今夜の幕場を取る。


8/16(木) 曇り時々雨、夜は雨
 今日は畑沢を越えていよいよ核心部の通過だ。いつもより早めの四時半ころには起きたけど、出発はいつも通りの7時前となる。畑沢までは単調なゴーロ歩きに終始する。ちょうど1時間で畑沢出合に到着する。畑沢を分けて多少水量は減るが、それでも腰から胸までの渡渉やへつり、泳ぎだ。9時過ぎに出てきた釜はルートファインディングが少々面白かった。白っぽい大岩を右にして進むと沢は左に屈曲して先が見えない。滝の落ちる音が奥から聞こえている。清野が右岸の岩に登ってルートチェック。釜はS字型に屈曲していて奥は3m滝と深い釜で直登不可能。手前の屈曲を泳いで行き正面の壁に取り付けば越えられそう。須藤が空身になりロープを引いて見事突破。
 このあともう一度泳ぎでロープを出し、5m2条滝は巻いて懸垂で沢に戻る。この先でスノーブロックが出てくる。抜けた奥に滝がかかっていてくぐることができない。幸い左岸の岩はガバだらけなので簡単に越えられた。これが今回の山行で唯一のスノーブロックであった。
11時半ころにガッコ沢出合に到着する。ガッコ沢は壁の上から7?8mの高さで勢いよく水を落として出合っている。ここで昼食、休憩を取る。
 中俣沢は狭いゴルジュの奥に滝がかかっていて直登は不可能だ。さしずめ中俣沢最狭部か。両手が届きそうだ。ロープをつけて右岸の側壁から潅木帯に抜けて、上流に向けて藪漕ぎトラバース。途中10m以上の滝がさらにかかっているのが見えたのでその上まで巻いて、適当な場所から懸垂で沢床に立つ。中俣沢ではこのあと4回高巻いたが3回までは残置支点を利用することができた。皆同じようなところを歩くものだと妙に感心する。
 次に木が引っかかった5m滝が現れたので右岸から高巻きに入る。高巻途中で先に15mほどの滝が見えたのでその上まで巻いて沢に戻る。5mくらいの斜瀑の右を快適に登るとまた登れない10m滝がでてきた。今度は右から高巻に入るが、1ピッチ登った場所から上流の様子を見ると連瀑帯になっている模様で、10m滝の上にさらに10m滝、ずっと先には連瀑帯奥の滝の上部だけが見えて急激に高さを上げている。水もろくに汲んでこなかったのでこのまま高巻を続けるのは困難と判断し、手前の10m滝の滝頭左岸に一旦懸垂でおりる。
 滝頭を右岸に渡り、次の10m滝左壁のクラックを利用して再び高巻に入る。目指すは最奥の滝の上までだ。先ほどからポツポツ程度であるが雨が降り始めてきたので、とにかく早くゴルジュの連瀑帯を抜け出したい。1時間強の高巻で沢に戻る。下降地点から下を覗くと15m、5m、5mと続き、その下は落ち口しか見えず不明だが、先ほどの上部10m滝との間にはまだ他に滝がありそうだ。連瀑帯は抜けたようだ。下降地点すぐ先の3m滝の右をフリクションで登るとすでに薄暗くなってきたので、右岸の狭い河原を幕場とする。脱出ルートを確認するとともに、念のために10m上までロープを張っておく。


8/17(金) 雨
 日付が変わったあたりから雨が強くなってきたので、全員荷物をまとめ靴を履いて仮眠する。15分おきに川の様子を見る。さらに雨は強くなり3時過ぎから急激な増水が始まったので、幕営用具などを撤収して7m上の岩棚に逃げる。あとで調べてみると回収忘れは門脇の鋸と清野の釣竿だった。増水はますます激しく2m以上は雄に水位が上がってきた。にごった濁流の中で石が転がってぶつかる音がゴロンガツンと聞こえる。でも今日くらいの雨ではこの沢はこれ以上にはならないようだ。5時を過ぎて明るくなったところで、さらに上の水が取れる場所まで移動、土木工事をしてタープを再び張る。日中は雨が降り止まず停滞する。20時ころには雨は上がったようだ。


8/18(土) 曇り時々雨
 前夜のうちに雨は上がった。3時半に起きてまだ暗かったけれど、下から聞こえる沢音から平水に戻っているはずと確信。1回分を二回に分けて作った雑炊をすすって、5時半に幕場をあとにする。ここは何年後に来ても場所がわかるだろう。標高770mのあたりだ。沢床には懸垂下降でおり、6時に遡行開始する。この頃から青空が出はじめるが、登るにつれ雲に隠れてしまう。何とか登っている間は天気が持ってほしい。ちょっと傾斜のある15mナメ滝は念のためロープを出すが、時間短縮のためごぼうで登る。20m滝は右岸から巻き、ついでにすぐ上の滝も巻いてしまう。泳ぎで一箇所ロープを出すが、西俣沢出合標高925mに7時過ぎに到着。
 この先はゴーロが続くが順調に高度が上がっていく。谷はどんどん開けてきて源頭部に導かれていく。本流を出来るだけ忠実に詰めるように心がけ、最後は笹やぶをこいで標高1700mあたりの稜線に詰め上げた。あいにくガスで景色は今ひとつではあったけれども、全員完登の満足感にひたる。


感想:17日の増水を除けば平水以下だし、雪渓はひとつしかなくて、状況はよかったと思う。実質的に3日で稜線に抜けて下山できたのだから。ガッコ沢と東俣沢の間には幕営適地はないので一気に越えるように前泊地や出発時間を考える必要がある。今年くらいの雪の残り方ならネオプレーンはいらない。昨年から使い始めた蚊帳の効果は絶大で快適空間を提供してくれる。もっと早くから使えばよかった。(清野記)


8/14   8:00寒河江―9:00日暮沢小屋―13:15村上13:40―14:30奥三面林道駐車場14:45―15:45下降点―16:10入渓―17:10幕場
8/15   6:55幕場発―8:24大釜直瀑―9:35最初の泳ぎ―10:05 6m滝―11:00マガ沢―11:45昼食
12:00―12:26ヨージロウ滝―14:14中上戸沢―17:15幕営地
8/16   6:55幕場発―7:55畑沢8:25―9:30 3mS字釜滝上―11:38ガッコ沢12:10最狭部高巻13:45―14:00高巻15:00―15:30高巻―16:50高巻18:00―18:30幕場
8/17   停滞
8/18   5:30幕場発―6:00遡行開始―7:10東俣沢出合―10:20水汲み?11:30稜線(標高1700m)―
12:10下山開始―12:45竜門山?清太岩山?16:20日暮沢小屋
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