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山行記録 カレンダー
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 2009-8-7 2:00
日程:2009年8月7日 ? 8月11日
山域:北海道大雪山カウンナイ川 大雪山系十勝岳連峰
山行形態:沢登り、縦走
メンバー及び役割: 大浦

記録:
8月7日 天人峡温泉で門脇、西村、平川、木村のメンバーに合流。クワウンナイ川入渓、870m付近右岸で幕営。
8月8日 稜線(日本庭園)にぬけ、トムラウシ北沼で幕営
8月9日 トムラウシ北沼発、三川台、コスマヌプリを経てオプタテシケ双子池泊
8月10日 オプタテシケ、美瑛岳、十勝岳をへて上ホロ避難小屋泊
8月11日 上ホロカメットク、富良野岳を経て十勝岳温泉へ

8月7日、8日両日の記録は平川さんのクワウンナイ川遡行記録を参照されたい。この両日はカウンナイ川遡行パーティのメンバーとして参加していた。9日以降、単独で十勝連峰を縦走した記録を記す。
8月7日 10時15分 天人峡温泉七福岩前のバス停に到着。本隊4人の到着を待ち、11時カウンナイ川遡行を開始する。8日午後稜線に抜け、トムラウシ北沼で幕営する。
9日、7時トムラウシ登頂。山頂で本隊と別れて、十勝連峰を目指して南沼に下る。南沼から三川台に至るまでは黄金ヶ原と呼ばれるところで、景観がすばらしい。高山植物が多く、高低差が少なく、高原のお散歩コースだ。気分良く歩いていたら、熊の新鮮な落し物を発見して驚く。爆竹とホイッスルで武装して歩くことにする。三川台からは一転して笹藪の中を歩く。天気が良すぎて暑いが、日差しをさえぎるものが何もなくて、大汗をかき大量に水を消費する。コスマヌプリまで、登下降を繰り返し、次第にトムラウシが遠ざかり、オプタテシケが近づいてくる。絶景だ。コスマヌプリとオプタテシケの鞍部にある双子池にたどり着いたのが14時でまだ日が高いが、暑さと荷の重さで疲れたので幕営することにする。シュラフやハーネスを干してのんびり過ごす。ここから仰ぎ見るオプタテシケは雄大だ。しかし山頂まで標高差が600 mもあり、ゴーロの急登を朝一番で上るのかと思うと、げんなりする。



10日 6時出発、7時半オプタテシケ山頂着。快晴で十勝連峰が一望できる。辺別岳、石垣山を越える。このコースは高山植物が豊富だ。熊の落し物が多く、掘り返したような跡もあり、突然遭遇しないように、ホイッスルを吹きながら歩く。美瑛富士を右手に見ながら、美瑛岳を目指す。縦走路から見る美瑛富士と美瑛岳はコニーデの双子のようだ。美瑛岳山頂から山体北西面をみると、コニーデとは一変して爆裂火口の荒々しい姿で、その姿の違いに驚く。ここからは十勝岳が指呼の間である。一木もない山であるが、均整のとれた美しい山体が目を引く。
鋸岳を越えて、十勝岳に取り付く。スコリアが堆積したグズグズの登路を喘ぎながら登る。植物がほとんどない、噴火後時間が経っていない火山だ。月面の写真のような斜面を登りきると、眺めの良い山頂だ。快晴なので、四囲の山、平野が見渡せる。噴煙を上げている火口もすぐそこに見える。
幕営予定地の上ホロ避難小屋のある、上ホロカメットクを目指して歩く。ボロボロに崩れそうな稜線を進むと、突然お花畑に出て、小屋が出現した。予想したより立派な小屋で、客も少なそうなので、テント泊をやめて小屋泊まりとする。
出発点からここまで、水場がまったく無く、4リットルを担いできて正解だった。
11日 5時過ぎ、上ホロカメットク登頂開始。あっさり頂上に着く。冬期登攀で有名な化物岩を観察する。ここからは十勝連峰の西端、富良野岳が間近に見える。三峰山を越えて富良野岳を目指す。上ホロまでとは一転して、高山植物が豊富だ。登りきれば、視界が広がり、トムラウシが遥かに見える。足下には原始ヶ原が広がり、夕張山地との間には富良野の町が見える。町の向こうに見えるのは富良野スキー場だ。スキーフリークだった頃、あのスキー場から十勝連峰を見て、いつか登ろうと思ってから、20年近く経つ。ついに来たかと感慨もひとしおだ。



山頂に1時間近くいて、十勝岳温泉に向かって下山を開始する。途中、化物岩、安政火口を見ながら、疲れた足を引きずりながら、ダラダラ歩く。下山後温泉に入り、一人でビールを飲みながら山行を振り返る。天気がずっと良く、景色も最高だった。もし毎年の山運に総量があるなら、この山行で大半を使ってしまったのではないだろうか? そう思うほどに満足感が得られた山行だった。

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執筆 : 
 2009-8-7 1:20
日程:2009年8月7日(金)?11日(火)
山域:北海道 忠別川支流クワウンナイ川遡行、大雪山縦走
山行形態:沢登り、縦走
メンバー及び役割:CL/門脇、SL装備/木村、食当?/大浦、食当?/西村、食当?記録/平川

記録:
 計画倒れに終わった昨年の教訓を生かし、今年は早々と木村さんが準備を進めてくれたおかげで、2年越しのクワウンナイ川は大成功に終わった。メンバーとしても思い付きで行けるような山岳ではなく、周到な準備と事前調査が成功に結びついた結果と言える。7月に起こった稜線での不幸な事故や、過去には増水による事故が多発している事から、一応入渓には慎重な判断が必要とされていた。しかし入渓の数日前から当面の間は降雨の心配は無さそうで、撤退の多いこの沢を初見で遡行出来るという幸運に恵まれた。(実際にメンバーの大浦さんは過去に3度撤退しているとの事であった) また、沢のついでに・・と言うには余りにボリュームが有りすぎる縦走も、中々本州の山岳では味わえない、価値のある山行になった。(MSC会員暦の長い西村さんにして、入会してこんなに歩いたのは初めて…とのことであった)

 7日(金)の早朝6時20分にはメンバー4名が羽田に集合した。大浦さんは一足先に現地入りしており、ガソリンなどの調達を済ませて入渓点の天人峡で待ち合わせている。木村さんは門脇工場に前泊し、門脇さんを空港に連れてくるという大役を担っている。西村さんは新調したザックで登場して嬉しそう。大きなザックを見ながら自分も嵩張るシュラフを迷わず新調してくれば良かったと思っていた。お盆の休みがスタートしたばかりの空港はかなり混雑している。荷物を預ける際にふと、カプサイシンスプレーがザックに入っていることを喋ってしまい、廃棄せざるを得なくなったのは痛かった。
 7:40発のADO旭川行きは、ほぼ定刻の9:30旭川に到着。思っていたより気温が高いが、さすがに北海道はからりとして気持ちがいい。私自身は夏風邪上がりで完全な体調では無かったが、この気候で一気にテンションが上がった。
 予約のタクシーで天人峡へ向かう。途中のスーパーで買い物もする。長閑な風景の道は蕎麦の花が綺麗だ。入渓点には10:40着。大浦さんともここで合流してメンバー5名が顔をそろえた。タクシーに不要な荷物を下山後に泊まる宿舎にデポしてもらえるよう頼んで11:20、念願のクワウンナイに入渓となった。(タクシー代は諸々で1万円)
 はっきりとした踏跡を10分ほど歩き、ポンクワウンナイ川の出合いから沢の中を歩く。心配していた水量はかなり少ないと思われる。(全体を通して膝上から足の付け根位の渡渉が多く、腰まで浸かる所はわずか)門脇さん先頭で、ここからは5?10m位の川幅を何度となく渡渉を繰り返して遡行する。水量は少ないとはいえ、重い荷を背負っての渡渉はやはり緊張させられたが、沢慣れしているメンバー中心で渡渉はスムーズだ。適度な水温も照りつける日差しに丁度良い。
 地形図上にも見られるインゼルが多い渓相は、両側の地形も合わせて観察しておかないと、二俣と勘違いしそうになる。いくら歩いても高度の上がらない河原を歩き、16:30に1日目の遡行を終了した。ここまでに出会ったパーティーは我々の他に2組。そのうち1組はガイド山行のようにも見られた。初日の幕場は予定していたカウン沢出合いまでは1時間ほど手前と思われるインゼル地形の中洲で薪も多く快適な幕場だ。ここで木村/平川がオショロコマを狙って竿を出す。餌はブドウ虫を用意してきた。(川虫も豊富なので餌の持参は不要であった)その1投目でそれぞれ1匹ずつGETした。それからはほぼ入れ食い状態。型はかなり小さいので大きめの物以外はリリースする。岩魚は難しい魚ではないが、オショロコマはヤマメ系の魚なので釣るのは難しいと思っていただけに拍子抜けした。5mの竿を新調してきた木村さんは暫くの間、自称『渓流釣りの天才』を豪語するだろう。焚き火でじっくり焼いたオショロコマと大浦さんが用意したジンギスカンは最高の沢飯であった。熊よけの爆竹を鳴らして早々と就寝。




 2日目も快晴。ちょっと遅めの7:00に幕場を後にした。8:10にカウン沢出合いに到着。この出合いに泊まるパーティーは多いようだ。この出合いから45分ほど遡行した所に魚留めの滝がある。今回の沢で初めての滝らしい滝で、幅広の大きな釜を持つ見ごたえのある滝である。これを左岸から巻き上がるといよいよ現れるのが滝の瀬13丁と呼ばれるクワウンナイのポイントだ。これは全く見事なナメだった。水量豊かな20m位の沢幅いっぱいのナメが延々2kmも続くのだ。『やはり北海道の谷は日本の渓ではないな』と思った。ウオータースライダーなど遊びながら遡行し、ハングの滝が現れた所で巨大なナメは終了する。巻き道は右岸の泥壁を登り、5m位の残置ロープをごぼうで強引に超える。




 次の二俣は両門の滝になっており中々のビューポイント。左俣の本流を詰めると奥の二俣で崩壊した雪渓が現れた。今回は雪渓処理も想定していたが、結果的に雪渓が残っていたのはここだけであった。ここまで来ると沢はやっと源頭の様相になってきた。沢を忠実に詰めるとやがて水は枯れ沼地が現れだす。この沼の脇で幕を張り、昼寝をしているパーティーがいた。何とも羨ましい光景。真似したい衝動を抑えながら最後の露岩帯を登る。
 周囲でナキウサギが鳴き、いよいよ稜線が近い事を物語る。その稜線には14:50にぽっかりと出てしまった。天候にも恵まれ、実に良い沢旅が出来たものだった。ここまで持ってきた2本のロープを始め、ガチャは結局使うことがなかった。大休止して予定のひさご沼は明日の予定の効率を考え、トムラウシ北沼のテン場に変更した。最後のひと登りをして北沼には15:40着。ここの雰囲気もまた素晴しい。静かな沼のほとりに我々の幕が二張りのみ。煮沸は必須だが水の確保も困らない。(沢の水で少々腹痛はあったが・・。)ただ、テントを張り終えて気が付いたのは、先の遭難事故で犠牲者の一人が正にこの場所で倒れたことを物語る線香が足元に有ったことだ。確かに全体を通してこの稜線上は風雨にあったら目標を失い、吹きさらしの中でかなり厳しい状況になるだろう。追悼の意を表し合掌。
 テント内で西村さん食当のカレーうどんを食べている時、突然キタキツネが現れて食材を入れた袋を咥えて走り出した。あわてて威嚇した所で、食材を放棄して逃げて行ったが全く油断もすきもない。沢と違って焚き火はないが北海道は稜線のテン場もそれなりに楽しい。酒も明日の分を僅かに残して就寝。



 8/9は朝4:30起床。北海道の朝は早い。カレー味のマルタイを食べ、6:00に荷物をデポしてトムラウシに登った。30分ほどで山頂に着く。もちろん今日も快晴で遮るものの無い360度の景観は誠に素晴しい。



 ここで十勝に向かう大浦さんと別れ、残りの4名はザックを回収してここからは後半戦の大雪連峰を縦走することになる。(計画通りの縦走は内心嫌だなと思っていたが、トムラウシから見る計画末端の旭岳を見て気持ちが変わった)幕場に戻って8:00にスタートした。途中のひさご沼は稜線からかなり下った所に見えた。雰囲気は良さそうだが登り返しを考えるとひさご沼はパスして正解。



 化雲岳には10:15着。直接下山する道のある最後の分岐点である。ここを過ぎたら旭岳まで下山は出来ない。門脇さんが足を故障しているので様子を見たが、『何とかなりそう』との事。今日は行ける所まで行ってビバークすることにした。次のピークである五色岳まではトラバース気味にハイマツの中を行くが、ヒグマのフンが随所に見られた。この稜線は登山道を覆うハイマツの中を歩く箇所が非常に多く、これが何とも歩き難い。引っかかったり跳ね返されたり体力を消耗させられる。



 五色岳を12:00に通過し、忠別岳には14:00に着いた。距離的にはトムラウシと旭岳までの中間点僅か手前のようで、どちらも彼方に見える。忠別岳では多くの登山者が休んでいたが、ヘルメットとロープの括り付けられた我々のザックを見て『クワウンナイですか?』と羨望のまなざしで見られる。『いつかは行ってみたい』、『羨ましい』と山行中、何度となく声を掛けられた。
 本日予定していた白雲岳の幕場までは時間的に無理と考え、1時間の距離にある忠別沼に適地がある事を期待する。その忠別沼は15:00着。先行した木村さんが木道脇の適地にザックを置いて休んでいるのが後方から見えた。着いてみればここもまた素晴しい所。少々クマの出没を警戒しなければならない所だが、それを除けばこんなに素晴しい所は無い。
小休止して幕営準備に取り掛かる。暗くなりかけて食事をしていると、外から熊よけの鈴の音がする。この時間にこの場所で登山者か?と外を見るとジーパンにスニーカーの青年が足早に歩いてくる。背中には小さなデイパックと肩からはトートバックなど持っており、明らかに場違いな装備で夕闇の中をこの先2時間は掛かると思われる次の避難小屋までの行程が案じられた。食事を終えると他にすることも無い。エゾ鹿の鳴き声を聞きながら19:00には寝てしまった。



 8/10、最終日。今日で山を降りてしまうという名残惜しさと、温泉でさっぱりしてビールが飲めるという楽しみが交錯した複雑な目覚めだった。もちろん今日も快晴。4日間、本当に天気には恵まれた。今日の行程は最終日にして、これまでで一番長い10時間行動になる。簡単に朝食を済ませて6:00に行動を開始した。ひと山乗越すと高根ヶ原という平坦な地形になり、高山植物が咲き乱れる素晴しい所になる。
 緩やかな登りに差し掛かると白雲岳避難小屋が見え始める。その小屋には9:00に到着した。雪渓から流れ出す水場の水は冷たくて最高だった。忠別沼で汲んだ黄色く濁った水と入れ替えることにする。小屋からは僅かな登りで稜線の分岐に出ることが出来る。雪渓を歩いて一度鞍部に降り、登り返した所が北海岳。時刻は11:20。御鉢平を挟んで黒岳が立派に見えた。あと1泊して目の前のお鉢廻りをしたら完璧な縦走になるなと思った。
 間宮岳には12:30に到着。ここを下ればあとは旭岳を残すだけだ。その旭岳は最後にして最悪であった。登りは滑り落ちそうなザレた急登で短い時間だが嫌な所だ。山頂には14:10着。最後の最後にしてガスで展望が無く、はるか彼方になった筈のトムラウシが眺められず、これが心残りになった。



 下りは傾斜は緩いものの登り同様にザレた火山性の道でとても歩き難い。門脇さんはここまで通しで沢靴を履いており、フラットの底では最悪の条件だったようだ。
  ロープウエイの姿見駅には16:00着。長かった山旅もようやく終わった。先ずは地ビールで4日間の山行に乾杯!これが最高に美味かった。それもその筈、連日9時間以上の行動を晴天の中でしてきたのだから…(まあ、これは相当贅沢なことではある)
 今日の宿、『ヌタプカウシペ』はロープウエイから500mにある雰囲気の良いロッジだ。到着して先ずは温泉、そして西村さんが帳場からビールを持って来てくれた。栓を抜くのもまだるっこく一気にビールを流し込む。全身の全細胞に染み渡る美味さだった。山に入っている時間が長かったため、世間では地震、台風、ノリピー逮捕と随分状況が変わっていたが、隔世の中でのん気に遊ぶのも中々楽しい。美味い食事と、さんざんビールを飲んで気持ち良い眠りについた。

 8/11。今日はいよいよ帰京する日。西日本は大雨で大変だというのに北海道は相変わらず快晴。名残惜しくて台風で飛行機が飛ばなければ良いのに・・などと本気で考えたりした。12:50の飛行機までの時間を有効に過ごそうと、旭山動物園に行くことにした。時間は僅かであったが話題のスポットにも立ち寄れ、お土産も買い込んで、楽しい想い出に花を添えることが出来た。また最後は北海道らしいモノを食おう!ということで地元の人気店でジンギスカンを食べ、お土産に地元の民が愛用するジンギスカン鍋もめいめいで購入した。




 このようにして、『やれる事はすべてやりました山行』 は大成功に終わり、この記録を書いている2週間後もまだ余韻に浸っている状態だ。あのトムラウシから見た幾つかの山々に登る機会を是非また作り、再訪したいと考えている。
 羽田には14:50着、木村/平川はちょっとのつもりで工場に寄ったが、タッチの差で帰宅遭難に陥る所であった。

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執筆 : 
hirokoji8806 2009-8-7 0:00
日程:2009年8月7日(金)?8日(土)
山域:谷川山域/魚野川支流荒沢本谷
山行形態:訓練山行 沢登り
メンバー及び役割:須藤(CL)、山本(SL)、羽生田(装備)、戸田、白川(記録)

記録:
 7日21:00荻窪駅北口集合。商店街、住宅地の狭い道路を右折、左折してあっという間に谷原。須藤さんは裏道に精通している。そして関越高速道路を経て23:30にはJR中里駅に到着していた。1年前には名前も知らなかったのに、すっかりなじみの駅になっている。入山祝い、明日の沢について語り合う。
 8日は5:50起床。朝食、身支度をして荒沢山ふもとのロッジ前の駐車スペースに車をデポする。7:00出発、魚野川沿いの林道を進んだ。途中川で釣りをしている人がいた。荒沢出合に7:30に到着して、橋の袂から右岸に降りる。狭くて水量も少ない。この奥に遡行図に描かれているような広がりのある沢が続いているとは想像も出来ないほど貧弱な入渓点で、本当にここでいいのか半信半疑であった。
 最初の『ナメ滝3m』は左側を上がった。岩はヌメヌメしていてずるずる滑る。釜のへつりも水中の岩の方が滑りにくかった。その後は釜、小滝、ナメの連続。ヌメリでテカテカ光る岩もあってぞっとする。黒くて小さい堰堤を越して、次はチョックストーンの滝。落ち口の右横に表面がヌルヌルした流木が立てかかっていた。須藤さんはこの木を上がり、後の4人はそれより少しは滑りにくそうな流れの左側を登った。 
 
                        倒木を登る須藤さん

 8:10大きなチョックストーンの滝に出た。須藤さんが大岩右手の直登を試みるが、茶色の岩がとにかく滑り、ランニングビレイを取れるような場所もないとのこと。数メートル戻って、右の岩壁を巻くことになった。羽生田さんがハーケンを打ってビレイ、須藤さんがリードで行く。途中一箇所で、ハーケンを打ってランニングビレイを取り、8:30に突破。私たちはタイブロックで通過した。ここの岩は日が当たっていたせいか、思ったほどには滑らなかった。ハーケンを回収しながら羽生田さんが上がってきたのが9:00。滝1つ越すにも結構時間がかかる。
 
                        リードで登る須藤さん
 
                        2番手戸田さん

 目の前には、またチョックストーンの滝、大岩4mである。落ち口の大岩がハングっている。須藤さんはそのすぐ右を登った。背が高いと1歩が大きく有利だ。後の4人は左から上がった。登り方は五人五様だ。上がって休憩10分。また次のチョックストーンに取りかかる。釜が意外と深い。よく見ると釜の出口を流木がふさいでいた。そのことに気がついた山本さん、羽生田さんが枝々を掻き出すと水が引き、隠れていた石が姿を見せた。上がった所が二俣、左を行くとさらに二俣、その右が『前の大滝25m』だ。9:40に到着。

 ここでは戸田さんがビレイ、釜の左をへつって須藤さんがリードでいく。


 一段目の滝の落ち口に小さな釜、その右壁にランニングビレイを取って、さらに2段目の滝を上がった所、50mロープいっぱいの所で須藤さんが支点を取ったが、様子をみていた山本さんがロープが屈曲しすぎているから・・・とフリーで登り、釜の所に立ってロープが流れるように中継してくれた。始めにタイブロックで上がった私が、2段目の滝に取り掛かると、山本さんがピッチを切り、二番手の羽生田さんに合図をして、ダブルで移動できるようにしてくださった。山本さんいわく、「須藤さんが4人いればするする行っちゃうんだけど・・・、時間短縮ね。」うーん、ごめんなさい。世話かけます。

 
                         一段目の滝を登る羽生田さん

 この2つの滝はどちらも左側を登ったが、特に2段目はヌルヌル!しかも岩は逆層でめちゃくちゃ滑るので、左の土壁との縁ぎりぎりの場所を上がった。全員の登攀終了は10:55。
 
                   2段目の滝。左上に小さく見えるのが須藤さん
  
 釜、小滝、ナメ、滑る岩。次々現れ、遊びがない。11:25、滝を上がると目の前に『2段の滝65m』。その上には空が広がっていて、遡行の終了点が近いことを期待したが、まだ全体の半分程度という。ここにも倒木の山。流木が徐々にたまったというよりも、大水で上からドカンドカンと落っこちてきて積まれたという感じである。
 
                   2段の滝65m。空が広がっていた。

 滝の右も左も手に負えない。しかもその上にまた次があるという。休憩15分の後、左側を高巻くことになった。急斜面で、土壁はずるずる崩れそう。一度沢に下りようとしたが、偵察に行った山本さんが、ここはまだ滝の途中だという。再度高巻く。たっぷり高巻いてもう大丈夫だろうと降り立った沢は結構狭い。しかも少し下に二俣が見え、右の土壁には踏み跡もある。その踏み跡をたどってさらに高巻き、右俣の様子を見ると、細く、さっきの左俣の方が開けているという。棚で作戦会議。眼下に私たちが入渓前に見た釣り人の姿が見える。まだこの程度しか上がっていないのかとガックリ。しかし山がこれほど迫り出ているからこそ滝の連続だったのだと気づかされる。 
 右か左か?コルへ突き上げる本谷の手前に遡行図にない枝沢があって、それがこの左俣なのではないか?という意見もあった。羽生田さんの秘密兵器(GPS)にご登場を願って調べてみると、正解は右俣であろうとのこと。12:30再度高巻き開始、12:40に右俣に降り立った。高巻き開始からちょうど1時間。急斜面で土も脆く、崩れやすい。しかも木の枝を跨ぎ、枝を潜るの連続で疲れた!休憩中には虫に喰われ、耳、顔が痒い。
 やれやれと沢の上部を見ると滝がある。また、山本さんが偵察に行って下さった。これは右俣であり、私たちは高巻いている間に、『奥の大滝』も越えてしまったらしいとのこと。戻るか、それともこのまま進むか?皆判断しかね、CL須藤さんに決定をお願いして、遡行図にない枝沢をそのまま進むことになった。850m地点。標高1100mのコルまで、あと250mの高低差である。
 しばらく進んだ後、13:00に沢を後にしてコルを目指す。これも先ほどの高巻きと同じようにしんどい。途中で戸田さんが蜂(これは後にアブであっただろうとされた)に襲われる。あっという間に3箇所も刺されたという。瞬く間に腫れてしまい、小休止して治療する。
 14:45荒沢尾根にたどり着いた。休憩後尾根を反れないように気をつけながら下降開始。ところが、目の前に見えていた関越自動車道がどんどん遠くなる。気をつけていたはずなのに、いつしか右側の支尾根に入り込んでいた。また作戦会議の結果、50mの高度を登り返して、予定のコースに戻ることになった。15:55に開始し、1000mの分岐地点に16:20到着。ヘロヘロである。
 再度尾根に沿って、気をつけながら下っていったものの、今度は左に寄り過ぎ、このままでは谷に下りてしまうという。尾根と空の境界線が視界の左上に見える高さを維持しつつ、急斜面の木の枝や根っこ、草を絶えずつかみながらのトラバースが延々と続き疲労度は増していく。最後はなだらかな茂み中を歩いて、18:06何とか明るいうちに林道にたどり着くことが出来た。林道を少し戻ったところに小さな沢があった。これは北カドナミ沢か?車に戻ると服もザックも泥だらけでとにかく臭い。あちこち虫に刺されていて、とにかく痒い。
 後はお定まりのコース。岩の湯でさっぱりとしてから、越後湯沢の中野屋でへきそばを堪能して帰路についた。JR荻窪駅22:20解散。帰りの運転は須藤さんと山本さん。皆さん本当にお世話になりました。見かけによらず厳しい沢の醍醐味を味わい、終わってみると面白かった。
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